【好機】原作2
□ハナシアイ
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「………あぁ、コラルさんから聞いたよ」
「コラル……?」
一体誰のことだと首を傾げるが、思い当たる人物が一人いた。
「マスター、か…」
マスターの名前はコラルと言う。
ずっと“マスター”って呼んでたから忘れてた。
というか、あの人本当に何者だ。
「確かにここと日本は離れてますよ。けど、一応私達には初代の血が流れている。それが分かっているのに放置した。このままずっと私達に関わらないつもりだったんなら私は何も文句はありませんでした。けど、あろうことか綱吉を巻き込んだ。綱吉が断らることが出来ないように手回しまでして」
「柚希ちゃんの怒りはもっともだ。だが、もう綱吉君しか継げるものは…」
「いるでしょう?確かに血は薄いかもしれませんが、ボンゴレの中で一番力を持っている同盟ファミリー、確か親戚筋じゃなかったですか?」
「どこでそれを…」
「私だって今まで21年間、のうのうと生きてきたわけじゃないんですよ?その気になれば、ボンゴレに大打撃を与えることだってできますから」
不敵に笑いながら続ける。
「スワンファミリーには確か綱吉と同じくらいの娘がいたはずです。その子は、ドンナ・ボンゴレになりたがっているんじゃないですか?」
私にとってあまりいい思い出は無いスワンファミリーだけど、利用できるなら利用する。
“あの件”があってから、後ろめたい事から手を引いたらしいし。
「だがね、柚希ちゃん。私の超直感が告げるのだよ。ボンゴレを本当の意味で告げるのは、綱吉君しかいないとね」
「綱吉に全て押し付けるつもりですか」
「押し付けるつもりはないよ。あくまでも綱吉君の意思を尊重して…」
「ないから私はこうやって貴方に直談判に来てるって何でわからない。綱吉は流されやすい性格だし、仲間想いの子だから仲間に何かあれば率先して動く。仕方なく。それのどこが尊重してる?ふざけるな」
「だが綱吉君は自分の意志で六道骸を破り、XANXUSを倒した」
「自分の意志?どちらも負ければ死ぬと分かっている事が?XANXUSの件はともかく、骸の件に関しては失敗すれば殺すと言っていた。戯言を吐くのも大概にしろ」
これだから、これだから嫌いなんだ。
ボンゴレの為になることが綱吉のためになると思っている。
お父さんもその節があるから、止めない。
だからボンゴレは綱吉に色々と求める。
初代の血が流れていて、もう後継者が綱吉しかいないから。
「私も綱吉にボンゴレ10代目なんて面倒な事を押し付けてるから人のことは言えないけどね、それでも綱吉が10代目に心の底からなりたくないと言った時は私は綱吉のために動く。大事な弟だからね。ボンゴレがどうなろうと知ったことじゃない」