【好機】原作2
□報告とご対面
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「―――という事で、結果的にはこれで終了ってことになるけど」
一応報告書として直に書類を渡し、何か不備はあったかと問う。
「いえ。完璧ですね。流石は高貴な私の高貴な親友です。手際が少々汚かったことを除けば、ですが」
「そこは目を瞑ってよ。直の妹ちゃんより早く動かないといけなかったんだから。その為には汚い事でもないと出来ないよ」
「結果的に成功したようですから瞑りますよ。それで、休みの件ですが」
「え?あぁ、いいよ別に。その代わり、聞かせてほしいんだけどさ」
「何ですか?」
「最初に気付くべきだったんだけどね、何で私にさせた?」
直の目が愉快だとでも言うように細められた。
「そもそも、玖渚機関が目を付けてたならそれを妹ちゃんが知らないはずがないし、もし知っててやったとしても長期間でやれば玖渚機関でも対処は出来た。それなのにわざわざ私に依頼した。裏があるとしか思えない」
「意外ですね。もう少し早く気付くと思っていました」
「実家の方で色々あってこっちに頭が回らなかった」
「それで、貴女の考えを聞きましょうか」
あくまで態度を変えない直。
そこは流石と言うべきか。
「妹ちゃんがどこからか私……じゃないな。“玖渚直”の親友の情報を手に入れた。で、妹ちゃんが会わせてくれとか言ったんじゃないの?」
「えぇ。勿論断りましたが」
「それで実力を見せろとか、玖渚機関の権力目的だとか言われた」
「その通りです。流石ですね」
「褒められても嬉しくないのは何でだろうね」
はぁ、とため息を吐いて髪をかきあげる。
不機嫌さを隠す必要もないよね。
「申し訳ありませんでした」
「いいよ。疲れたけどね、主に精神的に」
「申し訳なさついでと言っては何ですが、来ているんですよ」
この人絶対に申し訳ないとか思ってないよ。
てか、今何て……?
「………帰っていい?」
「今からどこのルートを通っても出会いますよ?もうそこにいますから」
「……1人……なわけないよね」
「えぇ。何人か連れているみたいです」
「直はさ、私を虐めて楽しい?」
「人聞きが悪いですね。虐めているつもりはありませんよ。ちょっとした戯れでしょう」
それが虐めてるっていうんだけどなぁ……
ヒクヒクと頬を引きつらせながら扉の方を見る。
確かに何人かの気配が動かずにある。
「呼びますか?」
「嫌って言っても呼ぶんでしょうが」
身体も扉の方へ向けて、体を直の執務机に預ける。
それとほぼ同時に、この部屋の扉が開かれた。