【好機】原作2

□離脱
1ページ/2ページ

並盛に戻ってきて、皆が無事を確認している間に輪から外れた。
誰にも気づかれないようにそっとその場から遠ざかろうとする。


「待ってください、柚希さん!!」


けれど、ユニに呼び止められてしまってそれは叶わなかった。


「……何?」


「お願いします。私たちに力を貸してください」


「何で?」


「白蘭がこのままこのようなことを続ければ、いつの日か柚希さんの身内も傷つけることになります。でしたら、まだ間に合う今のうちに!!」


白蘭が私の身内に手を出す、か…


「ボンゴレの皆さんが貴女にした仕打ちの事は分かっています。ですが、今はそんなの」


そんなの?


聞き捨てならない事を言われ、聞き返す。


「ユニ、勘違いしてないかな?私がさっき助けたのは単に白蘭に牽制するため。別にユニを助けたくて助けたわけじゃない」


「っ、姉ちゃん!!?」


「遅いんだよ。私はもう裏社会に見切りをつけた」


「そうかもしれませんが、貴女の力が必要なんです!」


「そうだよ姉ちゃん!!白蘭が危険なのは姉ちゃんも分かってんだろ!?」


「骸だってあんな……」


綱吉と心愛ちゃんが便乗して言ってくる。
周りも、どこか咎めるような視線にプツリと切れた。


いい加減にしろ!!


ギリッと歯を食いしばり、綱吉の襟を掴んで傍の木に叩きつける。


「そうやって何度も何度も何度も何度も私の意見は無視して!もう十分振り回されてあげたでしょう!?なのにまだ私を利用する気!?私の親友に手を出そうとしただけでも殺したいぐらいなのに、あんたらは私が悪いって言って聞かなかった!!一度謝ってきて許せばつけあがって同じことの繰り返し!!自分のメリットしか考えてない、私の都合を考えもしないで、私が協力するのは当たり前だと思ってる!!いい加減に、してよ、もう…


グッと唇を噛み締める。


「分かってるよ、今の綱吉にこんな事言うの間違ってるって事は。ごめん、忘れて」


綱吉の襟を放して前髪をかきあげる。


「とにかく、裏社会の問題に私はもう首を突っ込む気はない。私を巻き込むな」


もう疲れた。
嫌なこと思い出したし、帰る。


「柚希」


ディーノの横を通り過ぎようとしたところでディーノに腕を掴まれる。


「何」


「お前は分かってんのか?確かに俺達のしたことは悪かったかもしれねぇが…」


「“悪かったかもしれない”?悪かったんじゃない。事実をすり替えないで」


「だがそれとこれとは別だろうが!!」


何が別だ。

イライラしながらどう振り払おうか考えていると、トンファーが私とディーノの間に投げられた。


「うぉ!?恭弥!!?」


「柚希さん。行っていいよ」


「…ん、ありがとう」


恭弥の頭をクシャッと撫でて、その場を後にした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ