【好機】原作2
□離脱
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並盛に戻ってきて、皆が無事を確認している間に輪から外れた。
誰にも気づかれないようにそっとその場から遠ざかろうとする。
「待ってください、柚希さん!!」
けれど、ユニに呼び止められてしまってそれは叶わなかった。
「……何?」
「お願いします。私たちに力を貸してください」
「何で?」
「白蘭がこのままこのようなことを続ければ、いつの日か柚希さんの身内も傷つけることになります。でしたら、まだ間に合う今のうちに!!」
白蘭が私の身内に手を出す、か…
「ボンゴレの皆さんが貴女にした仕打ちの事は分かっています。ですが、今はそんなの」
「そんなの?」
聞き捨てならない事を言われ、聞き返す。
「ユニ、勘違いしてないかな?私がさっき助けたのは単に白蘭に牽制するため。別にユニを助けたくて助けたわけじゃない」
「っ、姉ちゃん!!?」
「遅いんだよ。私はもう裏社会に見切りをつけた」
「そうかもしれませんが、貴女の力が必要なんです!」
「そうだよ姉ちゃん!!白蘭が危険なのは姉ちゃんも分かってんだろ!?」
「骸だってあんな……」
綱吉と心愛ちゃんが便乗して言ってくる。
周りも、どこか咎めるような視線にプツリと切れた。
「いい加減にしろ!!」
ギリッと歯を食いしばり、綱吉の襟を掴んで傍の木に叩きつける。
「そうやって何度も何度も何度も何度も私の意見は無視して!もう十分振り回されてあげたでしょう!?なのにまだ私を利用する気!?私の親友に手を出そうとしただけでも殺したいぐらいなのに、あんたらは私が悪いって言って聞かなかった!!一度謝ってきて許せばつけあがって同じことの繰り返し!!自分のメリットしか考えてない、私の都合を考えもしないで、私が協力するのは当たり前だと思ってる!!いい加減に、してよ、もう…」
グッと唇を噛み締める。
「分かってるよ、今の綱吉にこんな事言うの間違ってるって事は。ごめん、忘れて」
綱吉の襟を放して前髪をかきあげる。
「とにかく、裏社会の問題に私はもう首を突っ込む気はない。私を巻き込むな」
もう疲れた。
嫌なこと思い出したし、帰る。
「柚希」
ディーノの横を通り過ぎようとしたところでディーノに腕を掴まれる。
「何」
「お前は分かってんのか?確かに俺達のしたことは悪かったかもしれねぇが…」
「“悪かったかもしれない”?悪かったんじゃない。事実をすり替えないで」
「だがそれとこれとは別だろうが!!」
何が別だ。
イライラしながらどう振り払おうか考えていると、トンファーが私とディーノの間に投げられた。
「うぉ!?恭弥!!?」
「柚希さん。行っていいよ」
「…ん、ありがとう」
恭弥の頭をクシャッと撫でて、その場を後にした。