断じて行えば鬼神も之を避く

□あの子達は天使じゃない
2ページ/4ページ

局長室にて。




「ま、いーんじゃないかネ、皆本クン!なんといっても犯人は捕まったし、ケガ人も出なかったしネ!」




にこにこと笑いながら言う局長に、「僕は!?」という皆本くんの訴えは無視された。





「君たち、これからはちゃんと規制を守れるかナー?」





「はい♡」




「できます♡」





「局長♡」






キラキラと先程までとは別人のように接するチルドレン。


柏木さん、顔引きつってる引きつってる。






「ならもう行ってヨシ!今日はエラかったゾー!!」







「はい♡」





「さよーなら、局長♡」





ぱたんと閉まった扉を見て、皆本くんは





「ちょ…!!局長!?今日という今日は叱ってくださいとあれほど―――ぶッ!!」





局長に異論立てして殴られた。






「な…何するんですかッ!?」





「これを見ろ!!心理調査部があのコたちに書かせたものだ!」





「作文…?」




「皆本くん、私にも見せて。」





少し興味があったので、皆本くんから作文を受け取って読み上げる。





「『私の将来の夢』」





薫ちゃん
 将来の夢は、特になし。




葵ちゃん
 ありません。投了。





紫穂ちゃん
 以下同文。






「……」






どう思うかネ、皆本…!!日本の未来を背負っている三人がだ!!人生これからというあの年で夢がないなど…!!大問題だヨ、キミ!!」






「心理調査部もこの作文には憂慮しています。なにせ、あの三人は『超度7』!小さな頃から他の子供と遊べず、大人たちもそのパワーに振り回されてきました。ただでさえ反抗的で社会性に欠けているのに、将来の希望が持てないとなると…………











史上最強・最悪の非行少女が誕生してしまう可能性があると…!!」







あの子達に限って、そんな事ないと思うのは私だけだろうか。


チラッと皆本くんを盗み見、そんな事を思う。






「そんな大げさな……!!いきなりそこまで心配しなくても―――」




「心配しなくても!?バカ者おぉーーーッ!!心配しろッ心配をおぉーーーッ!!あのコたちは国の宝なのだヨ!?大事に大事に大事に育てねばならんのだッ!!今すぐ何か手をうちたまえッ!!このままでは国の未来が……!!」





局長が皆本くんの胸倉を掴み、泣きながら訴える。





「…そんなことを言われてもっ!?あいつらがそう思ったんなら仕方ないじゃないですか!無理強いしてウソを描かせるわけにも…」






「そこをなんとかするのがお前の仕事だろぉがあぁッ!!できんというなら、一生オホーツク支部で雪かきだッ!!私は本気だヨ、皆本クン!!」





「そっ、そんなムチャなーーー!!てか、大体そういう仕事は小鳥遊さんの仕事じゃ!?」




「皆本くん、頑張って。私、面倒な事はしない主義なの。」





んなーーー!?





叫ぶ皆本くんに私は手をヒラヒラと振って






「それよりチルドレンの精密検査した方がいいと思うよ?」




そう言って局長室を出る。





「……私がしちゃダメなんだよ、皆本くん。私は所詮、イレギュラーなんだから。」








 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ