断じて行えば鬼神も之を避く

□未来は踊る
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そして連れて来られた沖縄県某所。




チルドレンは海にはしゃいで、皆本くんを巻き込んで超能力を使って遊んでいた。

話が進まないので途中でやめさせたが。






「え…!?この島に――超度7の予知能力者(プレコグ)が!?」






「そうだ!彼の予知は百発百中!だが、それが問題でネ。






予知したことを防げないのだ!!今回のテロのようにネ…!!」






「超度7はチルドレンだけじゃないんですか?」






気になった事を聞けば、「その通り」と言われた。


質問の答えには相応しくないよ、局長。






「彼は人間ではない。」






「皆本ーーッ!!渚ちゃん!!」





局長が言い終わるのとほぼ同時に、薫ちゃんに呼ばれた。






「見て見てーーーーっ!!」





「イルカやでっ!!イルカーーー!!」





イルカに捕まりながら此方へやって来る三人。






「紹介しよう!太平洋戦争中の実験で生まれたただ一頭のエスパー・ドルフィン!伊‐九号中尉だ!!」






イルカの背びれには確かに『伊009』と書かれてあった。




それにしても、実験、か。






【階級ハ無用ダ、桐壷クン!戦争ハモウ終ワッタノダ!ヨロシク、諸君!伊号ト呼ンデクレタマエ!】





テレパシーで話す伊号に薫ちゃんは、「これじゃ食えない!?」とショックを受けていた。




うん、食べる気だったんだね、薫ちゃん。






「彼の予知した悲劇を未然にくいとめる――それが今回の任務だ!」





「悲劇?どんな…」




皆が伊号に注目するが、話す気配がない。




あ、そういえば…





私は後ろに魚の入ったバケツが置いてあったのを思い出し、皆本くんに渡した。






「え?小鳥遊さん?」






「ホラ、皆本クン!お話していただきたいなら魚をさしあげて!」





やっぱりそうだった。




私は苦笑し、皆本くんは何ともいえない表情で伊号に魚をあげ、薫ちゃんたちはずっこけている。






魚を食べた伊号は私たちに再びテレパシーで話しかけてきた。





【ソレハ――――私自身ノ死ダ!】





瞬間、伊号が銃で撃たれる映像が頭の中に流れてきた。





【コレガ…ソノいめーじダヨ。】





「……!!銃で撃たれる……!?そういう予知のようですね…?」





「それでこんな無人島に来たんですか?局長。」





「チルドレンが警備をすれば銃は不要。我々がここにいることは極秘。銃撃などありえんはずだ。」





「ヘリのパイロットは大丈夫やろな?」





「出発前に透視たわ。心配いらない。」






「離陸するまで目的地は知らせなかったからネ。ここを知っているのは柏木クンだけだヨ。






どーです、中尉!!今度こそ未来は変えられます!!」






【運命ニ対シテ万全ナドアリエンヨ、桐壷クン。】





意気込む局長に伊号は冷静に言う。




私は、伊号の言っている事は正しいと思っている。




運命なんてもんは、そう簡単には変えられない。





【ソレニ、私ハモウ十分ニ長ク生キタ……。散ッテ行ッタ戦友タチノ元ヘ行クノモ悪クナイ。ESP動物実験制限条約ノタメ、モハヤ任務ニモツケズ―――野生ノいるかノ群レニモナジメズ、私ニハ居場所モナイノダ。】





あきらめんなっ!!じじい!!





「キィッ!?」





薫ちゃんがスイカで伊号を殴った。




「それじゃなんのための超能力か、わかんねーじゃんかんよっ!!あたしは戦うからな!!」




「せや!局長も言うてたで!超能力は人を幸せにするためにあるて…!!」





「寿命で死ぬならともかく、殺されるなんて許すわけにはいかないわ。」






「……」






薫ちゃんたちの言い分に、私はそっと微笑む。





運命なんか変わるにきまってんだろ!?あたしたちがいるんだから!!
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