断じて行えば鬼神も之を避く
□長距離瞬間移動能力者(テレポーター)の孤独
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葵ちゃんの言葉を聞いて、思わず眉根を寄せてしまう。
手がかかりすぎると、見捨てられるんだ。
私や、異常(アブノーマル)や、過負荷(マイナス)…それに悪平等(ノットイコール)みたいに。
「おい、葵…!!急な単独任務の話が来てるんだけど…そーゆーことならやってみるか?」
「えっ…」
突然の事に驚く葵ちゃん。
「嫌ならいい。今なら断れるしな。」
「やる!」
二つ返事で了承する葵ちゃんに、薫ちゃんや紫穂ちゃんは心配そうな視線を送るが、葵ちゃんは気づかない。
「小鳥遊さん、悪いですが僕がいない間…」
「分かってる。2人の事は任せておいて。」
「ありがとうございます。葵、行くぞ!!」
早々に立ち去ってしまった皆本くんと葵ちゃんを、薫ちゃんと紫穂ちゃんは酷く心配している顔で見送った。
「なぁ、渚ちゃん。葵の任務ってどんななんだ?」
「知らない。多分これは極秘で行われてる事だから。知っている人も少ないんじゃないのかな?」
「葵ちゃん…」
「………大丈夫だよ。皆本くんも一緒なんだし。」
クシャリ、と2人の頭を撫でれば、2人は私の方を見た。
「そう…だよな。皆本が一緒なんだもんな!」
「そうね。皆本さんが一緒だったら、大丈夫よね?」
「大丈夫だよ。ほら、2人はさっさと宿題おわらせよ?分からない所は私が教えてあげるから。」
「うん!」
「はい!」
笑顔で頷いた2人に微笑みかけ、宿題を見る為に椅子に座った。
次の日、首相から金一封と感謝状を届けるとの連絡があったらしい。
首相のあの怪我は無視しよう。
私は何も見ていない。