断じて行えば鬼神も之を避く

□誘惑者
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冗談か本気分からない。
本気だったらただのロリコンだけど。





「ふふふ。冗談だよ。第一、嫁にするなら渚だって僕は決めてるからね。」





ショックを受けている局長と皆本くんに、兵部は言う。





「なっ、小鳥遊さんを!?」




「小鳥遊クンはワシの娘同然―――!貴様なんぞの嫁にいかせるかぁ!!」






ガン!!
 ガンガン





とガラスを殴る局長。




ヒビがいくって、どれだけ力強いの、局長。
というか、娘…か。





「丁重にお断りさせて頂きます。」





「それは桐壷クンの娘の件?それとも僕の花嫁の件?」





「どっちも。でも、強いのは局長の娘。」




「なぬ!?」




私が普通人の家族になるなんて、まっぴらごめんだ。





「小鳥遊さん、どこかズレてません?」




「?」





当たり前の事を行ったのだが、どこかズレていたらしい。


よく分からないな。



そう思って息を吐こうとした瞬間、ヴーッヴーッと警報が鳴り響いた。





「何事です!?」




「脱走です!!上で受刑者がひとり暴れてるらしくて…」





「なに!?






これも貴様の差し金か!?兵部少佐!!」





「ああね。知ってることはいくつかあるけど、教える気はないね。」






「特務エスパーに応援の要請は?」




「しました!『ザ・チルドレン』がまもなく到着するようです!」





あの子達が、か。
マズイな。





「奴のことはあとだ、皆本!!小鳥遊!!戻るぞ!!」





「は…はい!!」





走り出した局長の後を追う皆本くん。
だが私は追わなかった。





「キミ、その脱走した受刑者、もしかしてESP戦に出慣れてる?」






「は、はい!」




「………本格的にマズイな。」





ESP戦に出慣れてるなら、超度が低くてもそれなりに戦える。
確かにあの子達の方が超度は高いが、技術的に劣ってる。





「渚。」





「何。今忙しいんだけど。」





「僕と一緒に来る気はないかい?」





「……」




いつになく真剣な表情の兵部に、眉根を寄せる。





「何で分かり切ってる質問を私にするのかが分からないね。答えはNOだよ。」





そう告げ、足早にその場を去った。


 
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