断じて行えば鬼神も之を避く
□ハート・ブレイカー
2ページ/9ページ
「うわ、サイテー」
「しかも、向こうは二人ともお前に気がある可能性が高い!」
「僕に!?」
「おーよ!!お前の名前出したら一発オーケーだった!こんなチャンス二度とねーぞ!?子供(ガキ)に遠慮してフイにする気か!?」
がしっ♡と皆本くんの肩に腕を回す。
皆本くんも満更でもなさそう。
「うわ、サイテー」
「あ、渚ちゃんも来るだろ?」
「いや、人数おかしくなるでしょ。」
「でも局長に頼まれてんだろ?」
「あー…」
今更ながら、面倒な事を引き受けてしまった。
「誰か誘えねーのか?」
「誰か……ぁ。」
アイツなら…いや、あー。
「誰か心当たりでもいるんですか?」
「私と同じ研究所にいる奴なら…。まぁ、話は付けようと思ったら…」
「ならお願いします!!」
「はぁ…」
見返りが怖いんだけどなぁ…
研究所に戻り、机の上に溜まっている書類を見て頬を引きつらせた。
「……ん?渚か。お帰り。」
「ただいま……?千景。」
彼は私の助手でもある千里千景。
昔からの腐れ縁。
「右から順に処理してくれよ。1週間以上休みやがって。お蔭でこっちゃずっと働きづめだ。」
「それをずっとやってた私は何だ。はぁ…。あぁ、そうだ。夜空けておいてよ。」
「は?何で。」
「仕事。」
「ふ〜ん。分かった。」
千景の了承も取れたので、取り敢えずこの書類の山をどうにかしよう。
「げ。期限明日までのもある…」
「自業自得。」
「転職するかな。」
「なら俺も連れてけ。お前以外の下につく気はねーから。」
「りょーかい。」
と、まあ軽口も叩き合いながら書類を処理していく。
「また暫く不眠か…」
どうしよう、本当に転職しようかな。