断じて行えば鬼神も之を避く
□久方ぶりの休日
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葉が起きたのは、12時丁度。
「眠ぃ…」
「寝すぎ。ご飯は?」
「……姉さんの手作り?」
「面倒だったけどね。」
「食べる。」
「んじゃ、用意するから待ってて。」
キッチンに行って、温め直しやら何やらをし始める。
「なぁー、姉さん。」
「んー?」
「何で、B.A.B.E.L.何かに入ったんだよ。」
ピタリと調理の手を一瞬止める。
「何で、か。」
出来た料理を皿に移し、葉の前に置く。
「暇つぶし、かな。」
最初は本当に暇潰し。
ココには、この世界には異常(アブノーマル)も過負荷(マイナス)も悪平等(ノットイコール)もいなくて、寂しくて…。
だから気を紛らわすために、態々物語の中心院飛び込んだ。
「B.A.B.E.L.には超度7の超能力を持つ子供がいるっていうのも気になったし。」
『超度7の超能力を持つ子供』という言葉に反応する葉。
でも、私は敢えてそれに気付かないフリをする。
「俺より……大事なわけ?」
「……は?」
予想外の質問に、意味を理解するのに一瞬時間が掛かった。
葉を見れば、珍しく顔を赤くしている。
言って照れるなら言わなきゃいいのに…。
苦笑いをしながら、葉の頭をくしゃりと撫でる。
「弟の方が大事だよ。つまらない心配しない。」
「いや、心配っていうか…」
言葉を濁す葉に首を傾げる。
「姉さんが、取られたような気がして…」
モゴモゴと言いにくそうに言った葉の言葉に、私は目を見開き、そして微笑んだ。
私が、普通人を前のように恨まないのには、葉の影響があるっていう事を知らないんだろうか。
葉は今でこそ超能力者だが、昔は普通人だった。
私が、唯一弟と……家族と認めた葉。
千景は私の右腕だから家族とはちょっと違う。
「今日は、ゆっくり家で休んでおこうか。」
私の申し出に、葉は嬉しそうに頷いた。
その後、千景が家に来るまでずっと葉は私と一緒にいた。
そして葉は千景に
「葉…お前、シスコンすぎるぞ。」
と真顔で言われていた。