断じて行えば鬼神も之を避く
□荒野のエスパー
2ページ/4ページ
「…お花買ってくれない?安くしとくよ!」
「ク…女王(クイーン)!?」
「…ダメかなあ。」
しゅんと落ち込む少女。
この店の店主の話だと、この少女は姉の治療費を稼ぐために花を売り歩いているらしい。
「姉ちゃんケガしてるんだ。だからあたし、かわりに商売してんの。」
【…商売うまいっすね。】
頭に直接響く声。
兵部の連れのテレパス。
「君がエスパーだったらよかったんだがね。残念ながら完全に普通人(ノーマル)だ。何かしてやる義理はないね。ただ…花は好きだ、ほしい気分だな。
全部もらおう!これで足りるかな?」
持っていたアタックケースを取り出す兵部に、ふらりとめまいを覚える。
コイツ“も”ロリコンか…!!
【あんた何しに来たんですか!?】
「いーじゃん別に。金なんかいくらでも稼げるし。」
【そーゆう問題じゃ…】
ふと、火薬のにおいが鼻を掠めた。
「いかん!!もう爆発―――」
カッ
ドガアァッ
「クッ……!!」
絞首交態(スーサイドアクション)≠ナ何とか怪我をせずに済んだ。
「ドジった。対応が間に合わなかった。」
煙が晴れた場所にいたのは、あの少女を抱えた兵部。
やはり薫ちゃんに似ているから想う所があるんだろうか。
「お前ら普通人が何をしようがどうなろうが知ったことじゃない。だが―――」
そこで言葉を切る兵部。
アーレ・ルギアの本部に殴り込みに行くんだろう。
「兵部、その子貸して。私が連れて行く」
「……あの爆発で無傷なんて、君は一体何者だい?」
「只者。いいから、やることがあるんでしょう」
「へぇ?止めないんだ」
「止めても聞かないくせに何を言うんだか。」
少女を受け取り、病院に向かって歩き出す。
兵部が何か言いたげに私を見ていたが無視した。