お題

□ふたりの手
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―大きさ比べ。



大きな大きな、貴方の手、温かくて、ちょっとごつごつしてる。

大人の手。

畑耕して、家事して、闘いに明け暮れる。傷だらけの。

大国の手。

俺の頭を撫でたり、触れたりするだけで。心の奥の方までじんわり、温かくなる。

不思議な手。

それに比べて俺の手は……?

闘いからも、訓練からも逃げてきた。

臆病な手。

料理だって、絵だって、貿易だって、何一つうまく出来ない。

不器用な手。

いつも守られてばかりな。

俺の手……

アイツの温かい温度が手越しで伝わってくる。

温まってくる俺の手。

何かを貰ってばかりな、俺の手……

「ロマーノの手は、努力家の手やんな。」



不意に投げ掛けられたその言葉に、耳を疑った。

何言ってんだよ。この手が? 努力家?

そんな誉め言葉貰えるような手なんかじゃないぞ?


何にも出来ない手だろ?何にも出来ない不器用な手だろ?


アイツは目の前でキョトンとした顔をして不思議がる。

心の中で吐き捨てたと思ったのに、全部言葉になって出てたらしい。

なんだか恥ずかしくなってうつ向いていると、合わせてた手が包まれた。

顔を上げればアイツは目を閉じていつもと変わらない笑顔で、言葉を紡いだ。


「何もできへん手は、何もしようとせん人の手なんやで?ロマーノはなそないな手でも奴でもないで。」


「どんなに出来へんでも、それでもええわと思ってそれっきりで、終わらせた事なんてなかったやろ?いつか出来るよになるように、いつやって頑張りよるやん」


まただ、また心の奥が温まってくる。寧ろ温まり過ぎて、ほら目から熱いもんが出てきちまったじゃねか!!
でも口からでるのは情けない言葉になってない声と、しゃっくりだけで。もう温かいもので、包まれてるのに。それなのにアイツはまだ言葉を紡でいく、

「それにな、証拠にロマーノの手傷だらけやん。上手く出来へんけど、失敗しながら沢山のことしてきたってことやん。」


「この手は何も出来へん手やないで、沢山沢山のことを失敗してでも、何かをやろうとしてきた手や。」


「俺は嬉しいわロマーノが、こないなええ手してるのが、いやちゃうわ、ロマーノやからこないなええ手しとるんやんなぁ。親分幸せ者やんなぁ。」


そう言って頬に俺の手を持っていった。

そして俺の手の熱でスペインの頬が温かくなっていったような気がした。







――――――――――――やっと1個お題が終わった!!当初とは大分変わった、て言うか、大きさ比べ関係ねぇΣ(-∀-;)
手比べじゃん!?
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