2vV
□祇園蝶様からvV
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昔は今よりもずっと小さく、常に背中に乗せていた。
今でも難無く背負えるが、やちるがそれを望まなくなったのは何時の事だったか。
「…髪も伸びたな」
長くなった髪に手を伸ばす。
柔らかな髪を指で梳くと、毛先まで絡む事無く擦り抜けた。
「…ぅ…ん……」
髪に触れられたのがくすぐったかったのか、やちるは微かに身動ぎをする。
頬に触れるとその顔に笑みが浮かび、剣八は目を細めた。
そしてそのまま指で赤い唇に触れる。
「………」
その時だった。
無意識の内に体を動かして。
「……ん…」
やちるに覆い被さる形で唇を重ねていた。
ゆっくりと体を起こし、いまだ眠るやちるの髪を撫でる。
「………俺は何やってんだ…?」
たった今、自分は一体何をした?