2vV

□祇園蝶様からvV
2ページ/4ページ


昔は今よりもずっと小さく、常に背中に乗せていた。

今でも難無く背負えるが、やちるがそれを望まなくなったのは何時の事だったか。


「…髪も伸びたな」

長くなった髪に手を伸ばす。

柔らかな髪を指で梳くと、毛先まで絡む事無く擦り抜けた。

「…ぅ…ん……」

髪に触れられたのがくすぐったかったのか、やちるは微かに身動ぎをする。

頬に触れるとその顔に笑みが浮かび、剣八は目を細めた。


そしてそのまま指で赤い唇に触れる。



「………」

その時だった。


無意識の内に体を動かして。




「……ん…」


やちるに覆い被さる形で唇を重ねていた。




ゆっくりと体を起こし、いまだ眠るやちるの髪を撫でる。

「………俺は何やってんだ…?」


たった今、自分は一体何をした?
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ