2vV

□祇園蝶様からvV
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特別なもの



「剣ちゃん楽しそうだなぁ…」

楽しそうに斬魄刀を振るう剣八の姿を、少し離れた場所から眺め、やちるは嬉しそうに呟く。


「……楽し、そう…」

しかし次に呟いた声は、どこか寂しげな響きを含んでいた。

「……」

初めてでは無い。

またしても無意識に発した自分のその声に、やちるは顔を顰める。



剣八にとって戦いは、他の何物にも代えられない楽しいもの。

戦える事は嬉しく、楽しい。

強い相手に出会えればより嬉しく、より楽しい。


やちるは剣八が楽しそうに戦う姿を見るのが好きだ。

生き生きとした表情で血の雨を降らすその姿に、恐怖に怯える者は決して少なくないが、その姿がやちるは好きだ。

いつも少し離れた位置から眺めて。

剣八が楽しめれば楽しめる程、やちるは嬉しい気持ちになる。



だが、それと同時に自然と浮かぶ思いがあった。


拭えず、付き纏うこの思い。
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