鬼畜眼鏡な部屋。

□明けない宵
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「あっ……あぁぁぁぁっ!」

自身のものを包む粘膜が一層締め付けを増し、彼のものを握っていた手に白濁の液体が放たれた。
汗ばんだ身体、荒い呼吸を繰り返す背中、濡れた瞳、擦れた嬌声、快楽に溺れた表情――目の前の青年の全てが、御堂の本能を突き動かす。
感じるがままに腰を動かし続け、その無防備な首筋に強く吸い付いた。
そしてそのまま、彼の中でとうとう自身も絶頂を迎える。

「佐伯、克哉……君は……」

知らず知らずに口から漏れた言葉は、佐伯に届くことなく乱れたシーツに吸い込まれていった。
ぐったりとベットに倒れこんだ様子をみると、どうやら気を失ったようだ。
御堂は自身のものを佐伯に埋めたまま、しばし呆然としていた。
思考が上手くまとまらない。
ふと、先ほど自身がつけた首筋に咲く赤い花に目が止まり、思わずそこに舌を這わせる。

「んッ……」

佐伯はピクリと反応したが、意識を取り戻す気配はない。
起こさないようにゆっくりと自身を引き抜き、手の拘束具を外してやる。
自由になった手首には痛々しい赤い跡が浮かび、ふいに襲ってきた罪悪感を拭うように彼の乱れた髪を梳いた。
そうしている間も再び舌を首筋に這わせ、背に、肩に、腰に、腿に、赤い花を散らし続けていく。
どれほど経ったろうか。
ようやく息も整い、御堂は惜しむようにゆっくりと身体を離した。

「……ッ!?」

目の前の光景に止まっていた思考が動きだす。
佐伯の身体には、確かに自身が付けた花が点々と咲いている。
しかし、これではまるで――

「……私が佐伯を欲しているみたいじゃないか……」

目が覚めたら、彼はこれを見てなんと言うのだろう。
自身でもなぜこの行為をしたかわかっていないのに、もし問われた場合、どう答えればいいのだろうか。
視線を上げると、佐伯の頬に残る涙の跡が目についた。

「……くそっ!」

分からない。
自分の気持ちが分からない。
彼の気持ちが分からない。
隠せない苛立ちと、霞みがかった真実に御堂は悪態をついた。
そして彼の身体が見えなくなるように乱暴にシーツを被せると、荒々しい足取りでバスルームへと向かった。


END.
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