03/06の日記
22:41
パロ
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セシル+ティナ
午後の休日
二人は家から少し離れたところまで買い物をしていた。
近くのスーパーより少し離れた場所にあるスーパーのタイムセールのためだ。さすがにティナ一人に行けせるのは危険だと、一緒に料理をするセシルが同行することになった。
保護者のように一緒に買い物について行くことに多少の違和感があるのはセシルのほうで、兄弟たちの誰よりもティナを本当の意味で強い娘だと理解している。
「(まぁ、荷物が多くなっちゃったから結果オーライなんだけね)」
隣りを歩くティナを横目で盗み見て、気付かれないように苦笑する。
久し振りに家から離れた場所に来たと実感しながら、セシルは今晩の夕飯を思い浮かべた。育ち盛りの兄弟たちの食欲は半端なものではない事など重々承知である。
質より量を求めてしまうので、今回のタイムセールで得た食材の数を考えれば、やはり自分が一緒についてきたのは正解かと合理化する。
セシルは思考を巡らせ、一人で歩いていることに気付き隣りを確認する。
ティナがいない。
「!ティ…」
反射的にぐるりと辺りを見渡し、視界に兄弟たちだけの美しい金髪が入る。
「…ティナ?」
すでに人通りも少ない路地に入っており、店なのか妖しいところにティナは立ち止まっている。セシルは疑問になり、静かに歩み寄り、ティナにの視線の先を見る。
そこには女の子が欲しがりそうなアクセサリーが並んでいた。
考え事をしていたセシルにとって、全く気付かなかったことでティナに申し訳ないと感じ声をかける。
「ティナ。何かいいのあるかい?」
「…ぁ、ううん。いいの…」
「いいよ。どれだい?僕からのプレゼントと思って、ね?」
「…いいの?セシル兄さん」
「いいよ。あ、皆には内緒だよ?」
「ふふ。うん」
二人だけの秘密、と公共の場ということも忘れて指きりげんまんをした。はたから見れば、なんとも暑苦しいピュアなカップルでしかない。
ティナは片手に白銀のシュシュを手にした。
「それでいいのかい?」
「うん」
「それじゃぁ、待っていて買ってくるよ」
「ありがとうセシル兄さん」
セシルはにっこり微笑み、店内に入っていった。
ティナはセシルの優しさを素直に受け止めるも、いつも優しくしてくれるセシルに申し訳なさも感じてしまうのだった。
会計を済ませたセシルが可愛くラッピングされた袋をティナに手渡す。
「ありがとうセシル兄さん」
「いいよ。きっとティナに似合うよ」
「・・・・いつも、ありがとう」
「ティナ?」
「…ううん。なんでもないの。…似合うかな?」
「似合うさ。でも、どうしてあの色なんだい?」
「……」
セシルの問いに、ティナは視線から逃げるおように俯き小声で告げる。
「……セシル兄さんの髪の色に……似ていたから…」
思いがけないティナの発言にセシルは内心、慌てた。
数秒、沈黙が流れ遠くから焼き芋屋さんの定番曲が流れてくる。
丁度いいところで、夕日が昇ってきた。
セシルは目を細めて眩しい夕日を見詰めながら、片手に荷物をまとめティナの小さな手を優しく掬いとる。
「…ありがとうティナ。僕はそれだけで十分、嬉しい」
「…うん」
「帰ろう。みんなが待ってる」
「うんっ」
夕日が、互いに笑い合う二人の影を映し出す。
家に帰るまで夕日は落ちることなく、二人の重なる影を映し出していた。
END
…おぇ…(汗)
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