03/18の日記

21:21
パロ
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オニオン+ティナ




休日。

オニオンが部活の練習試合だというので、ティナは応援しに行っていた。

練習試合は無事に勝利をおさめ、オニオンはティナに勇姿を見せることができた。

ティナもオニオンの必死に挑む姿に胸弾み、珍しく声をだして歓声したのだった。



帰り道、夕飯の買い物を済ませて家路を歩いている時だ。

オニオンが今日の試合の話をする。



「ねぇ、ティナ」

「ん?」

「今日の僕、どうだった?」

「どうって?」

「その、普段と変わってた…とか」

「うん。すごく、カッコ良かったよ」

「そう?」

「ええ。私、貴方があんな必死な姿…初めて見た」

「…そんな必死だった?」

「うん。男の子なんだなって…感じた」

「…………」

「?どうしたの?」



ティナは悪気があって言ったんじゃないと解っていながらも、やはり面白くないオニオンは黙ってしまう。

ティナはそれを不思議に思い、自分より頭一つぶん下にいるオニオンを見詰める。




「…オニオン?」

「ねぇ、ティナ」

「ん?」

「……僕、そんな頼りなく見える?」

「え?」

「僕はティナにとって、ただの小さい弟?」

「…どうしたの?」

「僕は………」



下から訴えるような瞳で問われ、ティナは言葉に詰まる。詰まるというより、突然どうしたのかと驚いた。

戸惑うティナを見て、オニオンは突拍子なく迫ったことに焦ってしまったと、言葉を止め「ごめん」と小さく呟く。


隣りを歩いていたオニオンの少し前を歩く姿に、ティナは戸惑いを感じる。

オニオン自身、ティナを困らせたかったのではない。


ほんの些細な引っかかりだった。


常に兄弟たちとの違いに悩み、追いつこうと必死で走っていた。

少しでもティナに自分を見てもらいたい。

試合の時だけでなく、普段の生活の中で気付いて欲しかった。

それは自分の我儘であり、また願望。

必死に頑張ろうともがいた所で、頑張っていると感じるのは己だけ、それをティナに何故解らないのだと迫るなど、なんと虫のいい話なのか…


オニオンは浅はかな振る舞いに後悔していた。


後方から心配するティナを安心させてやらねばと思うのに、素直になれない。プライドが邪魔をしている。



「(僕は…いったい、何がしたいんだろう…)」



オニオンは自分自身に嫌気がさし始めた。

そんなオニオンの背を見詰め、ティナは小さく声をかける。




「オニオン…」

「……」

「…ごめんね」

「(どうして、ティナが謝るの?謝らなきゃいけないのは僕なのに…)」




そう思いながら、言葉に出せないもどかしさと、自分の弱さに腹が立つ。




「…貴方の言葉…」

「…」

「私…何も考えていなかった」




ティナの言葉にオニオンは歩みを止め、振り返る。

そこには買い物袋を持ったまま、胸に手を当て俯くティナの姿。

その姿にオニオンは堪らずティナの前に歩み寄り、見上げた。




「ティナ。そんな顔しないで…僕が、僕が素直になれないだけなんだ」

「…オニオン…でも、」

「ティナは何も悪くない。僕がただ…君と対等でありたいが為に、焦っちゃったんだ」

「…でも、気付かなかったのは事実よ」

「ううん。僕が素直になれなかっただけなんだ」

「……オニオン」

「ねぇ、ティナ」




オニオンは一度俯き、意を決したようにティナを見つめる。

その熱い想いを含んだ瞳にティナは目を見開いた。




「僕は、皆と同じようにティナを護りたい」




オニオンの言葉にティナは驚き、返事ができない。

それでも構わないとオニオンは言葉を続けた。




「それはティナを見下すとか、そういうのじゃなくて…その、護り護られる存在…。ティナと支え合っていきたいんだ」




今はこれが精一杯だとオニオンは内心、一息つく。

オニオン自身、本音は「護りたい」という気持ちのはずだった。

しかし、どういう訳かオニオンはわだかまりが解けたと感じる。




考え押し付けるのでなく、互いに合わせよう。

自分と彼女との関係はどうあっても姉と弟。

互いの気持ちが異なることは解りきっていた。

それは覆せない事実。


ならばいっその事、受け入れてしまおう。

そこで道を選ぶことは出来る。

それは決して諦め、逃げたのではない。


願望は願望であり、本当に望んでいた心に行き着いた時、その願望は消えていた。





オニオンは笑顔でティナに手を差しだす。

ティナも微笑み、その手に自分の手を重ねた。




「さぁ帰ろう?皆が心配するよ」

「うん。そうだね」




久し振りに感じた手のぬくもりが、こんなにも温かいものだったかと忘れていた感情を甦らせてくれた。



−これが僕のお返し−



END



またもやホワイトディじゃない;;

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