03/20の日記

21:22
パロ
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バッツ+ティナ






「いやー今日は最高の天気でなにより!!」

「うん。晴れてよかったね」

「ああ。まっ、雨が降っていようと俺はティナとデートするけどな」

「バッツ…ありがとう」

「おう!よっし、どこから回ろうか」

「ううん…ラクダを見たいわ」

「ラクダね!行こうぜ」




頬を染めて笑うティナにバッツはニカッと笑い返し、細い手を取って歩き出す。





*****

休日の午後、バッツは動物園に行こうとティナを誘った。

互いの共通点が動物好きなこともあり、以前にも行ったことがあるのだ。


兄弟達の目を盗み、ティナと二人だけで出かけられる唯一の手段が動物園。いい年した人間が動物園なんて…と羞恥する兄弟たちの心を読んで、買って出たのがバッツ。

どんな些細なことでも自分の役得だと誇りに思うのが、バッツである。

それにバッツ自身、ティナの笑顔が見たいが為にあえて障壁(兄弟)にぶつかっていくのだ。

そんな純粋な気持ちを真正面からこられては断る理由もないし、バッツという人間だから許してしまうのだろう。


だから、バッツがティナと動物園に行くことを何も言わないのだった。


*****





本日、二度目となる同じ動物園に来たが二人は楽しんでいた。


餌やりコーナーではバッツがティナと二人で同じ動物に餌をやるなどして、感動を分かち合う。なんともベタなことこの上ない。

ふかふかなものが大好きなティナのためにバッツは動物と触れ合える小屋へ行き、兎や小動物の仲間で謎の生命体モーグリを存分に堪能した。


バッツなんかはティナの手を片時も離さず、連れまわす。

その握られた手をティナは微笑み、握り返した。




「バッツ、次はどこに行くの?」

「ん〜、俺のお気に入りコーナー!」

「あ、あそこね」

「そ、あそこ!行こうぜ」




ティナの問いにバッツはウィンク一つし答える。

嬉しそうにはきはきするバッツにつられてティナも嬉しくなった。



バッツのお気に入りとは鳥類コーナーのことである。



少し前までバッツは俺の相棒だと、黄色い鳥を飼っていた。

バッツが辛い時、悲しい時などどれほど勇気をくれたことか、バッツにとって掛替えのない存在であった。だが、その相棒は数年前に寿命で死んでしまった。そのショックで新しい相棒を飼わないでいる。


鳥類コーナーに行くことは平気なのかと思うだろう。確かに少し前までは重ねていたようだが、バッツなりに割り切ったらしく今では喜んで飛びつくほどだ。




「うおー!また綺麗なのがいるなぁ〜」

「うん。とても綺麗ね」

「あ、俺あそこに停まってる奴がいいなぁ〜」

「あれ?」

「ああ。なんか小憎たらしい顔してる」

「?小憎たらしい?」

「それでもって、可愛いな」

「……」




バッツが気に入った鳥は黄色かった。

ティナは無意識に探してしまっているバッツを見詰める。自分を見ていることに気付かないバッツはその鳥を嬉々として眺めていた。



ティナはいつも楽観的なバッツを羨ましいと感じていた。

何事も踏み出して進む勇気があるのだと、しかし…今バッツの心中を思うと、決して明るく振舞うだけじゃないのだと思い知らされる。

人間なら悲しい、辛い、怒り…といった感情は当然なのだが、ティナはバッツを全てを消化してしまう能力をもっていると思っていた。

だから、どんな小さな悲しみでもバッツから感じとったことでティナはどうしようもないくらい切なくなる。



隣りで嬉々としたバッツはティナに振り向き、思い出したように言った。




「そーだティナ!せっかく来たんだ。バレンタインのお返し何がいい!?」

「え??」

「何かないのか?小物くらい売ってる店あるだろ」

「…私は…」

「とにかく行って見ようぜ!」

「ぅ、うん」




バッツはティナの手を取り、店のほうへ歩き出す。

斜め前を歩くバッツの背を見詰め、ティナは声をかけた。




「……バッツ」

「ん〜?」

「あの、ね」

「?どうしたんだよ」




バッツは歯切れのないティナに立ち止まり振り向く。

そこには自分の手を両手でぎゅっと握り、切ない表情をし見詰めるティナの姿。

一瞬、驚くがバッツはすっと真面目な顔になり見返した。




「…どうしたんだよ」

「…」

「俺、なにかしたか?」

「ううん。その、バレンタインのお返し…」

「ああ!なんだ、お返しか〜。だったら心配するなよ、ちゃんと金は持ってきてあるから!」

「……そうじゃないの」

「??へ?」

「バレンタインのお返しは…」

「うん?」

「バッツが笑顔でいてくれるなら、なんでもいい」

「………」

「?バッツ?……ダメかしら?」

「…ダメじゃない。…ダメじゃ、ない」



ティナは思うままをバッツに言ったのだが、バッツにとって予期せぬおねだりだった。

どうやら無意識に悲しみを振りまいていたのだと気付いた。

ティナに心配させていたのかと思うと、申し訳なさと…気付いてくれてことへの嬉しさがこみ上げてくる。




「(ちっくしょ…すげー嬉しい…)」



バッツは目頭が熱くなるが、どうにか堪えた。

そして、感謝も込めて笑顔で応える。




「ティナ。…ありがとな!!」




頬を染めて笑うバッツの顔をティナは眩しそうに見つめる。

バッツは鼻をかきながら、口角を吊り上げてティナの手を引いた。




「さぁ、行こうぜ!」

「うん!」

「ティナ!」

「なぁに?」

「俺も、ティナの笑顔が好きだ!」

「…バッツ。私も、好きよ」



バッツとティナは互いに照れながら笑い合う。

二人を結ぶ手はしっかりと握られていた。




−ティナが泣きそうな時は俺が側に居る−

END



う〜んナンダコレ;;

ティナ嬢が積極的なの初めてじゃね?←

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