03/24の日記

16:34
パロ
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ジタン+ティナ





授業が終了し、ティナとスコールは玄関に向うため階段を下りようとした所をにジタンがいた。

先程、教室でバッツといたはずだと不思議に思いながらティナはジタンを見詰める。

小首を傾げるティナにジタンは悪戯ぽく笑って見せた。それにスコールは方眉を上げて不機嫌さを見せしめる。

スコールを見て見ぬふりしたジタンはゆっくり手をティナに差し出す。




「お手をレディ」




まるで姫を迎えに来た王子のようだ

ジタンの背後には細かく輝いた星が散りばめられている。それを更に不愉快だとスコールは静かに睨んだ。

斜め後ろで不機嫌オーラを醸し出しているスコールに気付かず、ティナはジタンの行動に今だ「?」である。




「…階段くらい一人で下りれるわ?」


「……そーですねー」

「…ふっ」




嘲笑うように顔を逸らして鼻で笑うスコール。

予想の範囲内だとジタンは首を横に倒し、苦笑。

意図に気付かないティナ。


ジタンは気を取り直す。

もう男として、いや自分のポリシーを諦めるようにティナの手を取った。



「ジタン?」

「ティナ。今日は俺と帰らない?」

「え?…でも…」

「そうそうスコール。さっき教室でスコールと帰ってない〜って、バッツとティーダが寂しがってたぜ」

「(何故あの二人が…)……そうか」

「まだ教室にいるからさ」

「(…それは行けって事か?)だから何だ」

「わっかんないかな〜?たまには家族サービスしろってこと」

「(それを言うならお前やティナにも言えるだろう)…別に今日じゃなくてもよくないか?」

「それがさ〜。あいつらスコール、スコールうるさいんだよ!仕方ないから俺がティナを迎えに来てスコールを行かせてやろうってなったわけだ」

「……おい、それ…」




まるでティナがスコールを離さないでいる。と言っているではないかとスコールは冷や汗が出る。

二人の会話を聞いていたティナは胸に手を置き、スコールに振り返る。その表情が曇っていることにスコールは目を見開く。




「スコール…行ってあげて?私、気付かないうちに貴方を独り占めしていたのね……ごめんなさい。バッツとティーダに悪いことしてしまったわ」

「(そうじゃないんだよ)…お前が謝る必要はない」

「そうそうティナは気にしなくていーんだって!さっスコール行ってやってくれよ」



ジタンの蝿を払うような仕草に、スコールはピキッと堪忍袋の尾が切れるのでなく破裂しそうになるが、何とか堪えた。

教室に戻るべくスコールは二人に背を向ける。振り向きはしないが、スコールはジタンに言う。



「…ティナを頼んだぞ」



その声が、密かに怒りを表しているとジタンは苦笑する。

当然、ティナもスコールの雰囲気に戸惑っていた。

それに気付いたジタンは握っているティナの手を強く握る。



「ああ。わかってるよ。…ありがとうなスコール」



ジタンの返事を聞き、スコールは歩き出した。その後ろ姿を見送り、ジタンはティナの顔色を伺う。



「ティナ、行こうか」

「…うん。」

「気になる?」

「…よく、わからないわ」

「だよな。とにかく、学校を出よう」

「うん」



ティナの手を引き、階段を下りた。

玄関で外履きに履き替えてから、校舎を背に家へ向う。


帰り道はティナがいつもスコールと歩く河川敷を通ることにした。いつもティナが帰っている道にしたのはジタンなりの気遣いである。

いくらティナと二人きりになりたかったからと言っても、言葉巧みとは言えない回りくどい方法を取ってしまったのだ。ジタンとて、気分がいいわけじゃない。



赤に近いオレンジ色の夕日が二人を照らす。

ティナは静かに横を歩くジタンを見詰めた。いつも自分に笑顔を絶やさないジタンの姿がないと思ったのだ。




「ジタン?」

「っ、ん??」




ジタンははっとして顔を上げる。ティナの心配する顔が目に入り、ジタンは後悔する。

そんな顔をさせたくて一緒に帰っているのではないのに…。

ジタンは苦笑しながら、ティナを見詰め返す。

その苦笑するジタンにティナは目を細める。




「ティナ。ごめんな」

「え?」

「…ごめん」

「ジタン。…何に対してか解らないわ」

「はは。う〜ん…そうだな、俺がズルイってことに、かな」

「ずるい?」

「そう、俺ってずるいんだよ」

「……」




ジタンは吹っ切れたように空笑いする。

ティナはジタンの表情を読み取るようにじっと見詰める。勘ぐるような行為をするようなティナではない。おそらく無意識でジタンを解ろうとしているのだ。




「ジタン。ジタンは……ずるくないと思う」

「へ?え、ティナ??」

「…だって、ジタン、自分でずるいって認めてるもの」

「……えーっと…??」

「嫌な部分を理解してるのは…素直な部分が本当の自分だから。私、そう思う」

「…ティナ」

「私、いつも皆に気を遣ってもらっているから…気付かない事、たくさんあると思うの。もし、ジタンがさっきの事で自分をずるいって言うなら、私…何だか嬉しい」

「ええ!?」

「ジタンの心の中を見れたような気がして嬉しいの」

「あ…そーゆーことね」

「普段、私が見ているジタンじゃないから…とても、新鮮」

「そー言ってくれると、なんか救われるかな」




ジタンはあまりに純粋なティナに照れてしまい、頭をくしゃくしゃと掻いた。


確かに、ティナの笑顔を一番に、ティナと一緒にいたいがために、ジタンはどれくらい兄弟たちや自分に背を向けていただろうか。

本当はティナも含めてみんなと一緒にいるだけで、満足しているのに…。周りに感化されるあまり、自分に仮面をつけて先程スコールを追い払うような行為をするようになっていた。

実を言えば、三人で帰ってもよかった。

けれど、そうしなかったのは自分や兄弟たちに背を向けてでも譲れない理由があるから。




ティナはジタンの思考、苦悩などに気付いてはいない。

はっきり言ってティナは戸惑っていたのだ。ジタンの葛藤する姿は普段見たことがないから。それはジタンがあえて見せないようにしていたのもある。

だが、ティナは無意識にジタンの中へと踏み込み、新たな発見に出会えた。


ティナはそれだけで十分だった。




「ティナ。手だしてくれるか?」

「?」




学校内で繋いでいたはずの手が離れていることに、今気付く。

ジタンは気付かれないように苦笑し、出された手を優しく包む。

ティナの手の甲に小さくキスをした。

それにティナはぴくりと体が揺れ、反射的に手を引こうとするがジタンがそれを許さない。

ジタンはティナの手の甲に額を押し付けた。




「ジタン…」

「ティナ。ありがとな」

「?」

「俺、自分に無理してた」

「…」

「俺、もっと自分を出すよ」

「…うん。私もジタンを知りたい」

「…ありがと」




ティナの手の甲にもう一度キスを落とし、にやりと笑う。

その行動にティナは頬を染めて微笑む。





−俺を引き出してくれるのは君だけだ−


END



謎!!

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