03/26の日記

23:10
パロ
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?+ティナ




誰もが気付かなかった。

最愛の妹(名目上)のティナのしなやかな首元に、ネックレスがさげられていることに…


時折、そのネックレスに触れては愛しそうに見詰めている。そんなティナを見るのはモーグリ人形に触っている時だけだ。

兄弟たちの中で只ならぬ不穏な空気が漂う。


だが、怖くて皆聞かない。聞けないのだ。もし、この兄弟たちの中の誰かであったら、これからの生活に何らかの支障が出てくるであろう。

というか、まず抜け駆け禁止と暗黙の了解であるにも関らず、ティナにそこまでの表情を引き出させるような事に及び…プレゼントまでする輩がいることに憤りを感じていた。


選抜隊のごとく三人がティナの前に現れる。



「ティナ〜」

「ジタン!なぁに?」

「その…そのさ」

「?ふふ。どうしたの?」

「あー!じれったい!ティナ!それ、なに?」

「?それって何?バッツ」

「それは…それだよ。なぁティーダ」

「へ!?イキナリ俺にふってくるっすか!?」

「…??三人とも、何か変、よ?」

「「「ははは〜ですよね〜」」」




結局、何をしにティナの前に現れたのか意味が解らないと二階から様子を見ていた他の兄弟たちが溜息をつく。

だが、直接口にしていないにしろ、指摘しても気付かないくらい肌に、ティナの心の中に浸透しきっているネックレスの存在に不愉快を覚える。ネックレスの存在というか、ティナの想い人にさらに嫉妬の炎を燃焼させるのだった。


第二選抜隊に赴いたのは堅物組のイトコと三男、五男

三人は無言でティナの前に立った。

長身の三人でしかも普段、クールで無口(一部異なるが)なものだから迫力がある。さすがのティナもソファの背もたれに引いてしまう。




「……どうしたの…?フリオニール兄さん。スコール。クラウド」



眼前で小首を傾げる美しい少女に、三人は内心打ち震える何かを必死に堪える。

目的を忘れるなと、言い聞かせフリオニールが口を開く




「なぁ、ティナ。その……そのネックレス…」

「え?こ、これ…?」

「とても大切にしているな(誰にもらった?)」

「あんた、何時からしているんだ?」



ティナはフリオニールにネックレスを指され、無意識にネックレスを隠すように手の平に収める。そして、頬を染めて視線を逸らすと俯く。

その仕草と行動が、まるで触れないでほしいと言っているようで三人は固まる。

可愛いと率直に感じ、シンクロするが…入り込む余地も見せないとショックも大きかった。


この三人も結局、ティナに無言の圧力だけを残し去っていく。


先ほどから皆、どうしたのかとティナは疑問になりながら手に包まれているネックレスを見詰めた。

ネックレスに込められた想いを思い出しティナは天使のように微笑む。




それを眺めていた、残りの三人。

長兄ライト、次男セシル、八男オニオン




「ねぇ、あれ…どういう事?」

「僕にも解らないよオニオン。…ライト?」

「え?もしかしてライト兄なの!?」

「…そうなのライト?」

「勝手に決め付けるな。私ではない」

「じゃぁ、誰?」

「それが解らないから皆、去っていったのだろう」

「そうだね。最後は僕らみたいだけど…行く?」

「セシル兄、今更じゃない?」

「ふふ。そうだね…。でも、今までのやり取りを見てると…僕ら兄弟の中にはいないってことになるよね」

「あ、そうだね…。え?外部?」

「外部かぁ…外部って言っても、学校しかないよ?」

「………学校。教師か…?」

「ええ!?教師?先生が生徒に手を出していいと思ってるの!?」

「まさか、世間一般ではいけないよ。ねぇライト?…ライト?」

「…………」

「セシル兄。なんかライト兄の背後にここのパロ設定では有り得ないほどの神々しい光のオーラを感じるんだけど」

「うん気のせいじゃないよオニオン。でも、そのオーラを感じてる僕らも既に設定無視になってるね」

「…そうだね」

「ねぇライト落ち着いて?もし仮にそうだとしても、僕らにとってティナは大切な家族に変わりないじゃない。だから僕らの知ってる人だとしても…受け止めようよ」

「セシル兄は優しいな……。僕もティナが幸せなら……受け入れるよ。ライト兄もだよね?」




セシルのもっともらしい事にオニオンは見習うかのように強く頷く。

そしてライトにも同意を求めるように二人は見詰める。二人の視線にライトは二人に向き直り、見詰め返した。

その瞳は強い意志を秘めていた。



「来るがいい。全力で応えよう」



「「………」」



何処かで聞いたような、ここでは有り得ない台詞。




「ここの設定無視するような台詞を言うのやめてねライト」



至極冷静にツッコミをしたセシルにオニオンは心の中で拍手をしたのだった。



気を取り直して、三人はティナの下へ向った。

無念にもネックレスの存在に散った兄弟たちの意志を継いで…。




再び前に現れた兄弟にティナは笑顔でいた。




「どうしたの?ライト兄さん。セシル兄さん。オニオン」


「率直に聞くぞティナ」

「ちょっとライト。いいの?」

「回りくどいのは好きではない」

「??」

「ティナ。混乱しなくていいよ。今は僕らの話だから」




ライトを引き止めたセシルの慌てた姿を不思議そうに見詰めるティナ。そのティナに心配させまいとオニオンは笑顔で自分に注意を引く。

セシルの待ったに眉を寄せるが、ライトは構わずティナに向き直る。




「ティナ」

「はい」

「君に聞きたいことがある」

「私に?」

「そうだ。先程から何人か君のところを訪れたと思うが…」

「うん。皆、どうしたのかしら?」

「そのことだ。我々も同じ目的できた」

「同じ、目的?」

「そうだ。そのネックレスは誰からの贈り物なのだ」

「僕ら…ただ、ティナがそれを大事にしているようだから気になって…」

「ごめんねティナ。応えたくなかったら無理にとは言わないよ」

「ライト兄さん…オニオン、セシル兄さん…」




三人の顔を見渡し、ティナはふわりと微笑んだ。

その微笑みを眩しそうに見つめる。

ティナは恥ずかしそうにネックレスに両手で包む。




「これね…お母さんとお父さんからの贈り物なの」



「「「(!?)」」」



「この前、バレンタインだったでしょう?わざわざ、ホワイトデーに私宛に届いたの」



他の兄弟たち同様に硬直している三人に気付かず、ティナは目をつむりそのネックレスを握り締める。




「大好きな娘へって…私、とても…「幸せ」というのを感じたわ」




嬉しく語るティナに何とか合わせながらも、無念にも散り…また自分たちが一日何をやきもきしていたのかアホらしくなったと脱力感に追われた。



−あの二人に勝てるわけがない!!!−

END



すみません。ホワイトディ6段のつもり。
ティナ嬢の「6」だけなにもないのは寂しいと思って…私が←

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