03/28の日記
20:19
パロ
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セフィロス+ティナ
放課後
全員分の古典の課題を両腕に抱え、ティナは暗闇の雲がいる準備室へと向っていた。
廊下には下校する生徒や部活動に行くであろう生徒の姿がちらほら見える。
それを通り過ぎ、生徒は用事がない限り通ることがない教職員廊下に入った。
前方から担任のセフィロスが歩いてくる。
ティナはばちりと目が合い、ふわりと笑うと一礼した。
それに対してセフィロスも目で頷く。
…目が合ったというより、セフィロスは既にティナを見ていた。が、当のセフィロスは気付いていないし、もちろんティナも気付くはずがない。
ティナが両腕で抱えるプリントを目にし、セフィロスが声をかけた。
「…そのプリントはなんだ」
「暗闇の雲先生からの課題です」
「なるほど。今から提出しに行くというわけか」
「はい。…先生は?」
「これから部活指導だ」
「あ、剣道部の…頑張ってください」
「ああ」
ティナは微笑み、再度一礼するとセフィロスの横を抜けて行く。
ティナの一つ一つの動きが美しく、一瞬だけ気を取られたセフィロスは後姿を見詰める。
暗闇の雲…アルティミシアよりは警戒せずとも良いだろうと思うが、どうにも胸騒ぎがするとセフィロスはティナに声をかけた。
「ティナ・ブランフォード」
「はい?」
声をかけたはいいが、どう言えばいいのだろうか。
セフィロスは自分らしくないと自嘲しながら、ふっと小さく笑う。
ティナは一瞬、心配そうな顔をしたセフィロスを見逃さなかった。
何故そんな顔をするのかと自分も不安になるが、いつもの表情に戻ったセフィロスにほっとする。
「…提出したら、早く下校することだ」
無表情で抑揚のない声が廊下に響き渡る。
数秒、二人は見詰め合った。
はたから見れば何か探り合っているのはないかと思うほど…。
そこだけ時間が止まったように思えたが、先に視線を逸らし時を動かしたのはセフィロス。まるで、これ以上見詰め合っていては気が触れてしまいそうだと警告音が鳴ったのだ。
ティナの返事を聞かずセフィロスは背を向けて歩き出した。
その後ろ姿にティナは誰も見ていないというのに笑顔で頷く。
そして、踵を返して暗闇の雲がいるであろう準備室へと向った。
暗闇の雲の元へ行く彼女への思いを拭いきれないまま、銀髪の教師は廊下を歩く。
セフィロス自身、監視役だとしてもティナの一つ一つの行動に反応しすぎだと困惑されていた。
ましてや監視役と個人的感情が混合しているような気がして、セフィロスはなお腹が立っていた。
「…面白くないな」
道場を目の前に、今日は部員と当たり稽古だなと私事を含んだ稽古内容を考えていたのだった。
-本当は気付いている-
END
…英雄、すみまs(スーパーノヴァ)
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