04/01の日記
22:42
働かざる者なんとやら
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☆矢夢小話。名前変換不可。
ある晴れた聖域
教皇の間の一室で慌ただしく、書庫を行き来する人影。
執務に追われるサガとアイオロスの姿。
その姿にルージュが紅茶を持ってきた。
「二人とも、少し休憩しましょう」
「「は、はい」」
ルージュの一声に、二人はぴたりと手を止める。
まるで兵隊のようだとルージュは微笑み、二人を日の当たるテラスへと促した。
二人分の紅茶を煎れると、目の前に置く。
遠慮がちにすする二人をルージュは目を細めて見詰めた。
朝から晩まで、それはそれは失敗なくこなしている二人の働きは素晴らしいものだが、どこか自己犠牲のような気がしてならない。
だから、いつもルージュは身も心も休めてほしいと常に願い、密かにアテナやシオンに二人の休暇を増やすよう交渉しているのだ。
「仕事はどうです?」
サ「なんとか、今日中に終わらせる書類はまとまりました」
ロ「後ほど、担当の黄金聖闘士たちを呼んで渡せば完了です」
「そうですか…。では、私も手伝いましょう」
サ「そ、そんな!ルージュ様のお手を煩わすようなことは…」
「いいのですサガ。二人の頑張っている姿を見ていると昔を思い出すのです」
ロ「昔…ですか?」
「ああ。シオンや童虎…仲間の黄金聖闘士たちと、当時何が何だか解らない書類に追われていた日々を思い出す」
サ「お若いうちから大変でございましたね」
「何を言うのです。サガ、アイオロス…それに今の黄金聖闘士たちとて同じです」
ロ「ルージュ様。我らは貴女様の労うお心だけで十分でございます」
「アイオロス…」
三人は同時に微笑み、紅茶をすする。
30分ほどたった頃、教皇シオンがひょっこり顔を出した。
その姿に二人は気付かれないように溜息をつく。
「シオン。どこに行かれていたのです」
シ「いえ、少し…な」
「…教皇としての執務はどうなさっているのですか?」
シ「ちゃんとしておる」
「…そうですか。」
シ「うむ」
「「(…)」」
シオンが視線を逸らしながらルージュに言う。
ルージュは少しばかりシオンを凝視したが、目をつむり微笑んだ。
その微笑みにサガとアイオロスは気付いているのかいないのか、謎だと不思議に思うのだった。
その日の執務は、休憩のときに話していた通り早く終わった。
二人が自宮へと帰って行くのを見送ると、ルージュはアテナの寝所に近い自室へと戻る。
二人の、黄金聖闘士たちの働きを側で見ているルージュにとって教皇であるシオンが執務を怠るなどあってはならないと感じている。
せめて最低限の労働時間はいてもらいたい。
アンティークが施された椅子の背もたれに体重をかけ考える。
「…アテナに相談してみようか…」
ルージュは目をつむり、小宇宙を高める。
体の周りを神々しい白銀の小宇宙が表れた。
《アテナ…アテナ…》
ルージュのテレパシーはすぐさま日本にいる城戸沙織ことアテナへと届く。
ちょうど沙織も仕事から帰り、城戸邸で一休みしている時だった。
《ルージュ。どうしたのです?》
《アテナ、このような形で貴女様にお声をおかけしたことを深くお詫びします》
《いいえ、気にすることはありません。それで、どうしたのですか?》
《なんとお心お優しき方。…実はシオンの執務怠りについてなのですが…》
《まぁ、そのようなことですか》
《誠に申し訳ありません…》
《ああ。そういう意味ではないのですルージュ。そうですか…シオンが…。いえ、いつかは対処せねばならない事でしたが、まさか貴女から依頼されるとは思っていませんでした》
《??》
《うふふ。貴女ほどの方が悩むのです。シオンの執務集中のため、協力してくださいますか?》
《もちろんでございます。私に出来ることならば、何なりとお申し付けください》
《その言葉をまっていました。ふふふふ…》
どこかアテナの含みある笑い声にルージュは「?」であったが、シオンが執務に集中してくれるのならどんな事でもしようと思っていた。
《では、ルージュ。後日、速達で貴女のところへ荷物をお届けします。その中に私が書いた手紙が入っているので、それに忠実に再現するようにお願いしますね》
《承知いたしました。アテナ…》
《ええ。では、頑張ってください。報告を楽しみにしていますよ》
《はい。貴女様もお体をご自愛くださいませ》
《ありがとうルージュ》
互いにテレパシーを切った。
アテナはいったいルージュに何を送るのだろうか。
後日、速達で届くと言っていた荷物に期待し、ルージュは窓から夕日を眺めたのだった。
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