06/15の日記

13:21
ありきたり(笑)
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DBZの夢小話。名前変換不可。苦手な方は回れ右です。









サイヤ高等学校は西の都一の不良男子高校ということで、有名だ。


極稀であるが、数年前は少林寺拳法で全国大会に導き優勝者出したほどの功績を残したこともある。
…今は有り得ない話しだ。





傷害

喫煙

強姦

窃盗

器物破損

起こした犯罪は数知れず。



そんな高校に、一人の青年が新人として赴任した。




「うぅ、口から心臓が出そうだ…」



情けない声を出し、仕事道具というか手持ち無沙汰と隔たりを作るために持っている、意味のない書類ばかり入ったクリアファイルを腕に抱えるこの青年。


名前は紫義(シギ)

艶やかな黒髪のセミロング、肌は白く、二重でクリッとした瞳。所謂、可愛い系に属する。

年は24。高等部教諭免許を一浪して獲得した新米教師。

担当は学生時代から得意としていた生物。




「紫義。しっかりしないか」




緊張で前屈みになっている新米の背中をバシッと叩く先輩教師。

この先輩教師は紫義が在学中から勤務している恩師である。



「だっ、だってピッコロ先生…俺がいた時はこんな状態じゃなかったですよ…」

「まぁお前がいた時よりは、多少異なるが、前よりおとなしいぞ」

「……絶対、嘘だぁ」

「そんなことはどうでもいい。それより、相手はお前より下のガキなんだ。しゃっきりしろ!」

「ふぁ〜い。…なんか久しぶりにピッコロ先生に怒られた気がします」

「バカ言っとらんで背筋を伸ばせ。もうお前は生徒ではないのだからな」

「それは承知してまっす。ピッコロ先輩」

「………先輩はやめろ」

「へへ〜」

「…たくっ」




悪戯そうに笑う元教え子の顔は幼さを残すも、やはりどこか大人びたものを感じながら自然と口元が緩むピッコロだった。



互いに顔を合わせて笑ううちに、ピッコロが担当する3年4組に着いた。紫義は4組の副担任と3、4組の選択教科の生物担当だ。


このドアを開けたら、ある意味での新生活スタートだと生唾を飲む紫義。そんな紫義の様子に小さくため息をつき、ピッコロは優しく肩を叩く。

それが紫義にとって今、一番励みになる。



「大丈夫だ。お前ならやっていける」


「…はいっ」




ピッコロは紫義に浅く頷き、ドアをスライドさせた。


紫義もピッコロの後ろ姿を見つめ、クリアファイルをぎゅっと抱く。ピッコロが教壇へ上がり、紫義もそのあとに続き教室へ入った。


廊下から聞こえていた騒音に似たけたたましいさがぴたりと止む。




(…〜〜し、視線が痛いぃぃ…)




仕方ないとわかっていても一斉に注目を浴びるのは慣れないもの。
紫義はなんとか生徒に体を向けたが、俯いている。しかもクリアファイルを抱きしめたまま。


ピッコロが何か言ってるが、既に耳に入っておらず完全に心ここにあらず状態である。



「…貴様らも一応、3年だ。進路について考えるのだな。と、最後に新任でここの副担任と選択教科の生物を担当する紫義先生から一言いってもらう」


(俺こんなとこでちゃんと授業できるかなぁ)


「紫義」


(…不安だけど、ピッコロ先生いるし大丈夫、大丈夫だよな)


「紫義!!」


「うわっはいぃ!!」


「挨拶せんか!!」


「へ?えぇ…何言えばいいんですかぁ?」

「…お前は…」




紫義とピッコロのやり取りをとりあえず見ていたクラス中がどっと笑い出した。ある一部を除いて。


「センセーかーわいー」

「天然はいってんじゃねぇ?」

「彼女いるの〜?あ、彼氏〜?」

「冗談でも言うなよなぁ〜」

「つーか、スーツに着せられてる感丸出しじゃね〜」



からかわれているとピッコロは声をあげようとしたが、紫義は?マークのまま普通に応えた。



「…?俺、男だけど…」



隣にいたピッコロは教壇に突っ伏しそうになり、生徒たちはぴたりと一時停止するも、再度笑い出す。そして、天然だの可愛いだのと声があがった。


とりあえずピッコロは紫義に説教しなければと心に決め、生徒たちを黙らそうと顔をあげる。




「貴様らいい加減に…」



青筋たてたピッコロに隣にいた紫義はヤベッと片手で口元を抑える。だが、次に聞こえたのは若々しい、しかし不快感を全面に出した低い声だった。




「テメェら静かにしやがれ」

「カカロット!」

「ピッコロよぉ、もういっかぁ?」

「フン。先に言いやがって…。ああ、HRは終りだ」

「…さっさと終りやがれ」




カカロットと呼ばれたその生徒は何処から見ても不良であった。逆立った金髪の髪に背筋が凍るような冷たいアイスグリーンの瞳。とても印象的であった。



「カカロット、サボるのかぁ?」

「ああ」

「お、おいカカロット!!」



肌が褐色で偉そうに机に足をのせ組んでいる生徒ターレスと、不良なのかと疑問になるスキンヘッドの小さな生徒クリリンは後ろのドアから出ようと歩くカカロットに話しかけた。

カカロットは顔を向けることなく、返事をして教室を出ようとする。




その様子を紫義はぽーっと見つめていたが、はっと気づいた時には声をかけていた。



「まだ、起立礼してないぞー?」



紫義の台詞に教室にいた全員が、紫義へ注目する。

あのピッコロ、そして自分に言われたであろうカカロットすらも紫義をガン見していた。


紫義はキョトンとして見渡す。



「…?俺、変なこと言った?」



この治安最悪の不良高校サイヤのトップに君臨するカカロット。彼に対して紫義は教師として当然なのだが、ここでは自殺行為に等しい行いを勤務初日にやらかしたのだ。


あんぐり口を開いた生徒と、少し驚いているのか目を見開いているターレスとクリリン、そしてピッコロ。




「カカロットよぉ。可愛いセンセーの言うこと聞いてやったらどうだァ?」


「………」



ターレスはにやにやといやらしく口元を吊り上げカカロットに言う。含みのある言い方にカカロットは眉間をぴくりと寄せターレスを見た後、紫義を見つめる。




「「……」」



カカロットと紫義は数秒、見つめ合う。教室内は沈黙。


「……」


紫義から視線を外し、カカロットは席に戻り机に突っ伏したのだ。

これにクラスの者たちが有り得ないと雄叫びに近い声を上げたのだった。




(…?よくわかんないなぁ…)



隣で脱力しているピッコロをよそに紫義の新生活の幕が切って落とされたのだった。


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