02/12の日記

15:15
パロ/VD
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悟(カカ)チチ





2月14日はバレンタインデー。
女が意中の男へチョコと一緒に気持ちを送る。

全く誰がそんなことを考えたのか…。

新婚だというのに、ちょっとは甘く過ごしたい。

チョコなだけに。

だが、悲しくもそんな行事など皆無に等しいほど鈍感な夫をもってしまったわけで半場、諦めたようなもの。

行事といえばこの間の節分、特大の太巻きを作って縁起のよい方角に向かってかぶりついただけであった。
その後は、セクハラというかいやらしい事に夫が自分の太巻きをどうのと言って強制的に行為に走って終わってしまった。


ろまんちっく、の欠片もない。まぁ節分はロマンがどうとかの話ではないのだが…。

今日のバレンタインだって、チョコを渡してから夫はいやらしい方向へもっていくだろうと少し想像してしまう自分に腹が立ってしまう。かといって、せっかくのバレンタインだもの大好きな旦那様に特大かつ特性のチョコを食べてもらいたい。



結局、悶々と考えながらもチョコを材料にした洋菓子作りの手は止まることはなかった。



甘くなかろうと、ナニをされようと、旦那様へチョコと一緒に甘い気持ちを伝えたい。むしろ、自分の気持ちはチョコ以上に甘いのだが…ならばチョコと絡めてもっともっと甘くしてやろうではないか!




そう思ったら、自然に笑みがもれる。
眉を寄せてちょっと困った顔、でも頬を染めて口元が緩んでる表情をするかな?どちらだっていい。
いろんな表情をする旦那様の全てが愛しい。



「ふふ。覚悟するだぞ悟空さ。今夜のデザートはチョコ尽くしだべ!!」




もはや企みになっていようが、どうでもいい。



さぁ、早く修行から帰ってきて。

戸を開けたら、おかえりのキスを交わして。

お風呂はいつもの熱々、一番風呂。

チョコの前の夕飯はいつもより豪勢。

そして寝る前に、とびっきり甘い甘い気持ちを伝えるのだ。


夫は自分以上に、自分のことを好きだと言っていたが…きっとそれは、その時だけ。だって、好きなら修行などしないで側にいたいと思うものではないのか。
だから、自分のほうが夫より数百倍も飛び越えて大好き。

自分だけが好きなんだと思っていた時より淋しさなんてない。夫が自分を「好き」だという事実が大切であり、どれくらい好きかなど本当はどうでもいいのだ。これが本音。












「………」





今夜は気を遣ってくれたのか、お義父さまやお義兄さん、あのターレスさまでこのパオズ山から出たというのに…肝心の夫が帰ってこない。

もう日付も変わる。

・・・怒りはあるが、どこかで予想していたのかもしれない。自分が盛大に落ち込まないように保険として「どうせ、こういう日に限って」と心の隅で考えていた。




「悟空さのバカ…」




人の気も知らないで。いいだ。そっちがそうなら、こっちだってやってやるだ。意地でも帰ってくるまで起きててやるかんな。
戸が開いて、開口一番「すまねぇ」ってへこへこするんだべ?わかってるんだからな。土下座までいってもいかなくても顔を上げた瞬間、止めを刺してやるだ!!







2月15日 AM:1:30


カチャ…



来ただな?


「チ、」




やっぱり、もう我慢できねぇだ!!!!


ぷつりと切れた糸は修復不可能で、気付けば作った洋菓子を両手いっぱいに夫へ飛び掛っていた。




「チチ!す、むごふっっっ!!!!!???」


「悟空さのバカ!バカ!!バカ!!!バカ!!!!」


「むぐっむぐっ!?もがもが・・・っ!!??」


「バカ悟空さ!バカ悟空さ!!!これでも食らえ!!食らうだ!!!!」




有無言わさず、このまま窒息死してしまう勢いで作った全ての洋菓子を夫の顔へ(詳しくは口)押し付けた。夫へ馬乗りになって種類豊富でしかも夫サイズの洋菓子をむぎゅむぎゅと押し付けてやる。こんなもので死ぬたまでもないだろう。
顔全体チョコまみれな夫、自分の手も服も床も全部、全部がチョコまみれ。





「バカバカバカバカバカバカ!!!!!!悟空さのバっ」




両手首を優しく、だが強く掴まれた。


チョコまみれの夫が大きな口を開いて、べろりんと舌で顔全体にまみれたチョコをぺろりと食べてしまう。


昨日ぶりの夫の顔に、じんと目頭が熱くなる。

ちょっぴり真剣な翡翠の瞳はすぐに揺れて、自分を乗せたまま上半身を起こし自分の頬に手を添えてきた。





「チチ。すまねぇ…」


謝んないでけろ。


「な、泣くなよ。な?」


泣いてなんかいねぇべ。


「なぁチチ。さっきの何だ?すんげぇ甘かったぞ」


それは、おらの気持ち。


「なぁ、もっかい食わせてくれよ」


悟空さが望むなら、いくらだってあげる。

おらのぜーーーんぶ、悟空さにあげる。



返事も聞かずに夫が涙を舐めとる。

ほのかに香るチョコと夫の香り。自分にとっての媚薬。

夫が唇に噛み付く前に、まだチョコが残る夫の唇へ噛み付いてやった。


少し驚いて夫がきょとんとしている。

それは全部、自分のもの。




「悟空さ。大好き」



そうして、もう一度優しくキス。


気付いたら体制が逆転されてしまっていた。


END



……ギロチン刑。

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