12/05の日記
22:54
パロ
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悟チチ(カカチチ)
”きゃぁぁぁぁ!!!!助けてぇぇ!!!”
”○○!!!”
夜の孫家では新婚夫婦が仲良く隣同士に座りながら××サスペンスなるものを観ていた。チチはヒロインが襲われそうになっている緊迫したシーンを真剣に見入っている。時折、命にかかわる場面では悟空の腕にしがみ付くくらいである。いっぽう悟空はテレビは半分…という殆どチチがしがみついてくるものだから、腕に感じる柔らかい胸に全神経を集中させられていた。
テレビの内容はクライマックスに近づいてきたときだ。
「はぁ…おらも一度でいいから、助けてもらいたいべ。」
「??」
チチは両手を重ねうっとりとした表情でテレビを見て言った。
悟空は、チチの言葉に”??”である。
というか実は同じ空間にいるバーダック、ラディッツ、ターレスはチチの言葉に”たぶん、それは高い確率でないのでは・・・?”と逆に疑問に思った。
が、間違っても口に出せない。黙って新婚夫婦のやり取りを見ていることにしたのだった。
「チチ、どゆ意味だ?」
「んもぉ、だからな。おらも”誰か助けて〜!”って言ってみてぇだよ。」
「なんでだ??」
「自分のピンチに助けにきてくれるなんて素敵だべ!」
「ふぅん。そっかぁ?」
「んだ!だから、おらも襲われた時に助けてもらいてぇだ。」
「なんだよチチ。それならオラがいるじゃねーか。」
「へっ?」
「なんだ?」
「いや、だって悟空さ…今なんて言っただ?」
「ん?だから、オラがいるってよ。」
「……」
「…チチ?」
へらっとした様子で言ってのけた悟空は何ともない顔でチチを見つめた。
チチは何か変なことを言ったか?と言わんばかりの(実際そう思っているようだ)翡翠の瞳が覗いてくるものだから、直視できずに俯いてしまう。
悟空にとっては普通でも、チチにとっては心臓を鷲掴みされるような驚愕である。あまり”愛”の言葉を言わない夫の口から自分を想う言葉がでてくるなど想像できようか。
自然にうるっと目頭が熱くなってしまう。
「チチ?…泣いてんのか?」
「…うぅんっ…」
「チチ!お、オラなんか悪ぃこと言ったか!!?」
「ち、違うだっ!違うだよ悟空さっ!!おら、感動しちまって…!」
「へ?感動??」
「だ…だって、悟空さがおらのこと助けるなんて言うから…」
「……???何言ってんだ?」
「それはこっちの台詞だべ!?」
「いや、オラの台詞だ。チチ、オラは当たり前のこと言ってるだけだぞ。」
「悟空さ…」
「おめぇの事、守るんはオラだけだろ?違うんか?」
「ぇ…ぁ、いや…違わねぇけど…」
「そだろ?」
「…んだっ!!」
「へへっ」
チチはぱぁっと漆黒の瞳を輝かせる。悟空はチチの喜ぶ顔に照れくさく逆立った金髪をくしゃくしゃと掻いた。
そして、どちらともなく二人は笑い合う。
新婚夫婦を離れて見ていた三人組は砂を吐きそうになりながら、まぁ仲良くしているからいいかと感じていた。(※約一名は腹を抱え声を殺して笑っているが)
そろそろ就寝の時間。
何事もなく一日が終わると思っていたときだ。
「…ん?待てよ。」
「なんだべ悟空さ。」
幸せそうに笑い合っていたのだが、何かを思い出したように悟空はぱっとチチの両肩を優しく、だが強く包む。
チチは急にどうしたのかと少し心配になり、悟空を見つめる。
「オラ、おめぇが襲われるところなんて見たくねぇぞ。」
「ご、悟空さぁっ!!!」
「「「・・・・・・・・」」」
真顔で言う悟空にチチは嬉しさに頬を染め、悟空を見つめる。
三人は真面目に言う悟空に冷や汗をかきだした。
悟空は嬉しいと抱きついてきたチチを半場引っぺがすようにチチの顔を覗き込み・・・
「だいたい、おめぇを襲っていいのはオラだけだろ。」
「「「「・・・・・・・・」」」」
両頬を優しく撫でられながら、翡翠の瞳が本気で言ってくるものだからチチも黙ってしまう。
チチのぽかんとした状態など関係なく悟空はしごく真面目に言う。
「すまねぇチチ。おめぇを襲うのがオラだから、
おめぇの夢は叶えられそうにねぇや。」
と最後の言葉はチチの耳に入っていなかった。
「つーわけで、今夜は寝かせねぇぞチチ。」
ニカッと笑う悟空にチチは言葉を失い、ほとんど心ここにあらずであった。
離れていた三人は二人を冷静にかつ白い目で見ていた。
「「「・・・・・・・・」」」
言葉なかったが…。
悟空は視線の先に三人組の姿を見て、すっとチチを引き寄せると
「あ、父ちゃん兄ちゃんターレス。出てってくれよ。」
「「「・・・・・・・・」」」
悟空は固まって・・・放心状態なチチをぎゅっと逞しい胸におさめる。
そして、笑っているのにチチへの表情とは一変して黒いオーラを解き放ち三人を追い出したのだった。
完全に二人だけの空間になったことを感じ、悟空は胸に押し付けたチチを再度、自分に向かせる。
ここでチチはドキリとした。
悟空の翡翠の瞳がすっと細められ、色を含みその欲を自分にだけぶつけて来るものだからだ。
チチはほんのり頬を染め、ほんの少しだけ視線を細め逸らす。
逸らすことを許さないように悟空はチチの顎を掬いあげ、ニィっと口角を吊り上げた。
「…ごくぅさ…」
チチが体の力を抜いたのを感じ、悟空はすっと優しく口付けを落としながらチチを支えてソファへ崩れ落ちたのだった。
「・・・なぁ親父さんよ。」
「てめぇに親父呼ばわりされたくねぇ…」
「・・・てめぇの息子、バカだろ?」
「・・・・・・。」
「親父。否定してやってくれ。」
「ラディッツ。俺には否定できねぇ。」
「てめぇはどうなんだよ主夫。」
「主夫ではない!」
「・・・で、どうなんだよ。」
「・・・・・・。」
「てめぇもかよっ!!!!」
今日もパオズ山は平和です。
END
・・・切腹ぅぅっ!!!
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