09/17の日記
23:34
DB1
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精神と時の部屋での修行を終えた孫悟空はセルが開催するセルゲームを知り、新たな神デンデを地球に迎えた。
デンデが地球の神となったことをクリリンと息子・悟飯に伝え、二人をデンデの元へ連れて行った。穏やかな時間をと悟飯には神殿で遊ぶように伝え、悟空はドラゴンボール探索を決める。
いったん自宅へと帰れば嫁のチチに怒鳴られたが、久しぶりの夫婦二人きりの時間だと言って、それはもう目も当てられないほどに甘い時間をすごしたのだった。
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「オッス。ブルマ」
「…あんたねぇ、ただでさえ、そのスーパーサイヤ人なのにビックリすんじゃないのよ!!」
「はは、わりぃわりぃ」
カプセルコーポレーションで16号の修理に追われているブルマの所へ、瞬間移動で現れた旧友に呆れ顔を向ける。
「で?何よ。私は今、忙しいんだから」
「おう。ドラゴンレーダー貸してくれ」
「そこに上がってるから、持って行きなさい」
「サンキュー」
「…」
しゃべり方や雰囲気は普段の孫悟空なのに、どうにも外見ががらんと変わってしまうと感覚が鈍くなる。本当に孫悟空なのかと試したくなり、悪戯心が沸いたブルマは作業の手を休め煙草を一本ふかした。
ドラゴンレーダーを確認した悟空はブルマに振り向いた。
ふわり
「?なんだブルマ?」
「……やっぱ、あんた孫君だわ」
何ともないにしろ、無反応な悟空にブルマはたいへんショックを受ける。正直な話、悟空にとっては何かが当たった程度にしか感じていないのだった。
ブルマの言葉に悟空は「?」であると同時に眉を潜める。
「オラはオラだぞ?それにおめぇ…」
「何よ…」
「臭ぇぞ」
「なんですってぇぇ!!!!??香水よ香水!!!ほっんとデリカシー0なんだから!!!こんな美人な人妻が軽い挨拶してやってんのに!!!!」
「…何言ってるかわかんねぇぞ。まっいいや。じゃ借りてくな」
「さっさと帰れーーーーーー!!!!!」
悟空が消えた後、もう居ない場所へドライバーを投げつけた。そして、バカらしいと白衣の裾で拭ったのだった。
ドラゴンレーダーを借りた悟空が瞬間移動した場所は唯一無二の存在であるチチのもとだった。
家の中をぐるりと見渡すが、愛しい妻の姿がない。
「チチ〜、たでぇ…」
確かさっきまでソファにいたはずだと、近づけば小さな寝息が聞こえて悟空は息を潜める。
自分の道着を縫っている最中に寝入ってしまったのか、ソファに横になって眠っていた。悟空はそぉっと隣に座り、その寝顔を見つめる。
無防備に眠る妻が可愛らしいと思う。可愛らしいという言葉は妻にこそあるのだと思ってやまない。睫毛が長い、閉じられた瞼を見開けばぱっちりした黒目が自分を捉えるのだ。そう思うだけで胸がぽかぽかする。そして、何度も破けた道着を次の日には元通りにする、魔法使いのような妻を本当にすごい。自分の中での妻は神以上に超越した存在だと感じる。
思えば今回の戦いもその前の戦いも、いや結婚した時からだ。昔の神ですら許容を越えるかもしれないほど、妻との約束を破り、我儘を通してきたと思う。そんな自分に妻は烈火の如く怒ったが、結局は許し続けてくれた。きっと、これからもだ。
離したくない
離さない
妻が自分から離れることは許さない
子どもの言い分だ。わかっている。だが、妻が「チチ」がいなければ「自分」は死んだも同じなのだ。
バカみたいだと自嘲しながら、可愛い寝息をたてるチチの愛らしい唇に悟空は自分のものを重ねる。
さぁ自分だけを写すぱっちりと輝く黒い瞳を開けてくれ。そして"おかえり"とその愛らしい小さな口で言ってくれ。
だがこの口付けは自らの大罪を晒すものだということに、悟空は気付いていなかった。
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