09/18の日記

23:35
DB2
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ぱちっとチチが目を開け、悟空を見つめる。ここまでは期待通りだった。次に"おかえり"と言われるとばかり思っていた。

しかし、チチの口から出たものはとても簡素なもの



「…どこ、行ってただ…?」

「へ?」



悟空はハズれたと思いながら、平然と答える。



「ブルマんとこだ。ドラゴンレーダー借りにさ」

「………」

「チチ?」



聞いてきたのはチチのほうなのに、何も返ってこない。

少し金色の眉を八の字にして不思議とチチの瞳を見返すが、逸らしたくなった。


大きく輝いた黒い瞳なのに、自分を拒絶しているのだ。

時が止まったというのはこういうのを言うのか、同時に背筋にぞくりと悪寒が走る。




なんで、そんな目ぇするんだ?

スーパーサイヤ人は慣れただろ?

悟飯がいないとやっぱダメなんか?

帰ぇってから手を洗わなかったからか?

なぁ……どうしてだ?

口から心臓が出ちまいそうだ。

ドクドクうるさい。チチに聞こえちまってんじゃねーか?

いや、家に響いてるみてぇに破裂しそうだ。





悟空の心中など気遣ってやれるほど、チチもまた不安の波に追いやられているのだ。チチはいつものように怒鳴れば納まるものを何故そうしなかったのかと、体だけ置いてけぼりにして冷静に思案している。

数分の間、二人はその場に固まっていたが、チチが時を動かした。



「…どいてけろ」

「へ、あ…ああ」



一瞬、反応が遅れたものの悟空は絨毯に座り、チチと距離をとる。

きょとんとした翡翠色の瞳を見ていられなくて、チチは裁縫途中の道着に視線を下げ手繰り寄せた。



「…薪割りに行ってけろ」

「……おう」



チチはとにかく悟空と居たくなかった。悟空もまた、ざわつく身体を振りほどきたくて小さく返事をし、玄関へ向かう。



「……」



常人離れした悟空だ。背後にいるチチ涙を流しているのがわかった。



「チチ」


「…いっぺぇ、割ってきてけれな」



誰が聞いてもわかるほど、その声は震えていた。

理由を聞かなければいけないのに、チチとの距離が遠く感じる。

たったの2メートルほどの距離でしかないのに、遠い。




悟空は静かにドアを閉めた。



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