獏良とバクラの日常
□獏良とバクラの日常5
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バクラは今とてもイライラしていた。
と、言うのもバクラの宿主である獏良に頼まれた家事全般を押し付けられたからである。
獏良たちは家事を1日置きの交代制にしている。本来なら今日は獏良が当番であるのだが、なんでも今日は実家に帰るということで、家事を全てバクラに任せて朝早くから出掛けてしまった。
「ッチ!面倒くせ〜。邪神が家事をやるなんて似合わねえぜ。それより…」
もう一つバクラがイライラしているのには理由があった。
何故か、遊戯に憑いている。いや、元々憑いていた存在のもう一人の遊戯…アテムが家に来たからである。
「なんで、王様が居るんだ?掃除の邪魔だ。とっとと消えな!!」
バクラはかなり嫌な顔をしてアテムに言い放った。
「居ては悪いのか?俺は用があって来たんだぜ。」
「王様がいったい俺様になんの用があるってんだよ。他を当たりな!!」
バクラはアテムに対してあまり良く思っていなかった。今は仲良くないと言う言葉で片付けられるのだが、少し前まではバクラはアテムに深い憎しみさえ抱いていた。今では、とりあえず和解を(獏良の強制により)したのだが…。
「バクラ。まだお前、俺を憎んでるのか?」
「……俺様は完全にお前を許した訳じゃねぇ。」
しばらく重い空気が流れた。
バクラは心のどこかではアテムを許してはいたが、3000年もの年月を復讐に費やした。その永い年月を否定するようで認めたくはなかった。
アテムは真面目な顔をして言った。
「別に俺を許さなくても構わないぜ。確かにあの惨劇は父上の命令で引き起こった。息子である俺にも責任はある。すまない…それより、お前も過去に縛られずに、未来を生きてみろよ。未来を考えるのは結構楽しいぜ?」
バクラは俯きながら肩を振るわせていた。
「王様よぉ…そう言うシリアスな話をしながら…
勝手に宿主のシュークリームを食ってんじゃねぇ!!」
ぐはっ!
バクラの拳がアテムの顔面に直撃し、食べていたシュークリームがテーブルの上に落ちた。
「くっ…いいパンチだ。バクラ。城之内君並みだぜ!ところで、このシュークリームはバクラの手作りか?なかなか美味しいぜ!!」
アテムはバクラに向けてグゥをして、また食べかけのシュークリームを食べ始めた。
まともな事を言っていたのになんでコイツはこうなんだ。やっぱりコイツは嫌いだと、バクラは心の中で毒づいた。