失ってから気付いた想い
□失ってから気付いた想い
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「専務。会議の時間です。」
「わかった。」
俺は父さんに言われたあの日から仕事を始めた。
あのまま引きこもったままでは・・・牧野を見つけた時に、俺は牧野に胸を張って会えない気がしたから。
それに仕事を頑張れば父さんは俺の好きにしていいと言ってくれた。
『一般の方』
父さんがそう言ったのは気になったけど、俺は大学へ通いながら仕事を覚えた。
そして俺は現在大学4回生。牧野がいなくなってから・・・3年半の月日が経ってしまった。
俺達はあの日からずっと牧野を探しているが・・・まだ見つかっていない。
仕事の合間に牧野を探すが、一向に見つからない。
総二朗達も忙しくなり、俺達はだんだん会わなくなっていた。
あの日・・・牧野が消えてから俺達の間はギクシャクするようになっていた。
牧野がいなかった日常に戻っただけ・・・
でも俺達にとって牧野はいなくてはならない存在になっていたのだ。
牧野がいなくなってからの俺達はなにかが足りなく、喪失感でいっぱいだった。
俺達はその喪失感を埋めるためにも自らの仕事に励んでいたのだった。
「専務。今日の会議は社長も出席なさるそうです。」
ふといろんなことを思い出していると、秘書がそう言ってきた。
「父さんが?めずらしいね。この会議、そこまで重要じゃないでしょ?」
「はい。しかし社長ご自身が出席するとおっしゃったらしく・・・」
めずらしい。父さんがこんな会議にでるなんて・・・
珍しいと言えば・・・父さんは半年くらい前に秘書見習を新しく雇ったと聞いた。
それもまだ学生。
父さんがわざわざ連れてきたと聞いたから・・・よっぽど優秀なんだろう。
でも俺は大して気にしていなかった。
それが・・・あとで後悔するとも知らずに。