失ってから気付いた想い
□失ってから気付いた想い
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周りは俺の行動に驚いたのか、みんな俺をじろじろと見ている。
会議が再開されても、俺の頭には入ってこなかった。
さっきまで牧野が俺の腕の中にいた・・・。
3年半ぶりの牧野。
見違えるほど綺麗になった。
あのころはあどけない顔立ちで、まだ幼さが残っていた。
でも今は大人びた顔になり、ドキっとした。
早く・・・早くまた抱き締めたい・・・。
自分の腕をぎゅっとつかみ、会議が終わるのを今か今かと待った。
会議が終わり、俺と父さんだけそのまま会議室に残った。
「父さん!説明して!!」
俺は父さんの前に行って睨みつけた。
聞きたい事はたくさんある。
なぜ牧野のことを知っているのか。
牧野がなぜここにいるのか。
「落ち着け。類も知っていると思うが、私は半年前から秘書見習を雇った。・・・それが牧野さんだ。」
・・・父さんが連れてきたっていう!?
なんで牧野が!?
「私が牧野さんを知ったのは・・・今から4年前になるかな?類が変わったと聞いてね。調べたら牧野さんの存在を知ったんだ。
私は牧野さんに興味を持ってね。それからも報告を受けていたよ。そして・・・司君が記憶を失って、牧野さんにひどい扱いをしたのも知っているよ。」
4年前!?父さんはそんなに前から牧野のこと知ってたのか・・・
「類。牧野さんの居場所を隠したのは私だ。」
俺は父さんの言葉に驚いた。
今まで牧野の居場所が分からなかったのは、父さんが隠していたから!?
「父さん・・・なんで牧野のことを隠したの?牧野のことどうするつもり!?」
もしかして・・・父さんも司の母ちゃん同様・・・牧野になにかするつもり!?
「落ち着け。私は牧野さんをどうこうするつもりはない。ただ・・・牧野さんの力になりたかった。それだけさ。」
父さんは穏やかな笑みを浮かべた。