失ってから気付いた想い

□失ってから気付いた想い
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司が暴漢に刺された。



そして一命は取り留めたが・・・記憶を失った。



『運命の女』・・・牧野のことを。



司の牧野の接し方はひどすぎた。



まるで憎悪の感情をぶつけているみたいだった。



牧野はなんとか思い出してもらおうと必死にその罵声に耐えて病院に通い続けた。



俺はそんな牧野を支えようと決めた。



・・・俺は牧野が今でも好き。でも・・・司と一緒にいる牧野の笑顔が一番牧野らしいと思えたから司に譲った。



でも・・・今の牧野は笑顔どころか今にも泣きそう。



『泣いていいから。』



俺がそう言うと牧野は俺の胸で泣きじゃくった。



どうして牧野がこんなにつらい思いをしなきゃいけないんだろう・・・どうして牧野が泣かなければいけないんだろう。



そう思いながらも、俺はどうすることもできなかった。



司が思い出せば・・・牧野はいつもみたいに笑ってくれる。



そう思って牧野を応援した。



でも・・・あの時もう牧野は限界だったんだよね?



俺はそのことに気付いてやれなかった。



あの日・・・俺は所用で病院へ一緒に行けなかった。



牧野は「一人で大丈夫」って言ってたから俺は特に気にしなかった。



その後・・・俺は今までで一番後悔した。



まさか・・・俺達の前から牧野がいなくなるなんて思ってもいなかったから。
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