Novel-長編
□失いしもの4
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野球場―
そこには道明寺がもうきていた。
「道明寺!」
あたしは道明寺のいる場所まで駆け寄った。
「ごめんね。待たせちゃった?」
「牧野・・・俺は・・・」
「待って!!先にあたしの話を聞いて!!」
道明寺は少し驚いたような表情をしていた。
「あたしね・・・道明寺から連絡が来なくなって・・・悲しくなかったって言ったら嘘になる。でも・・・もうあんたに対しての感情は・・・昔みたいじゃないんだ。」
「昔みたいなって・・・」
道明寺がぽつりとつぶやいた。
それでもあたしは話を続けた。
「道明寺のことは今でも好きだよ。でも・・・それは友達として好きなんだ。でもちゃんと話もしないでそのままってことも嫌だった。だから・・・ちゃんとさよならしよう?」
あたしは道明寺をみつめた。
「わかった・・・。俺・・・婚約するんだ。」
婚約?
道明寺が?
政略結婚か・・・
やっぱり・・・あたし・・・胸が痛まない・・・
「おめでとう。ねぇ・・・ひとつだけ約束して。その婚約者の人を愛してあげて?政略結婚でも・・・その人を愛そうとして。」
「なんで・・・おめでとうなんて言えんだよ!!俺は・・・俺は・・・」
道明寺の表情は俯いて見れなかった。
「道明寺・・・忘れないで?あたしはあんたの事大事な友達だと思ってるよ。道明寺がどう思ってるか知らないけど・・・あたしでよければ力になるよ!!」
「お前に心配されるほど落ちぶれちゃいね〜。・・・お前はさっさと帰れ。」
道明寺はあたしの顔を見ることなくその場を去って行った。
ばいばい・・・道明寺・・・
1年前のあたしの気持ちに・・・嘘はなかったよ・・・
あたしは顔をあげた。
さぁ・・・帰ろう!
花沢類達のところへ!