Novel-長編

□失いしもの7
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ジェームズは慧を連れて少女の部屋に戻った。


すると少女は目を覚ましていた。


「あの・・・私・・・どうしたらいいんでしょう・・・」


少女は不安そうに聞いてきた。


「君は今事故の後遺症で記憶喪失になっている。でも心配することはない。」


私はそっと少女に話しかけた。


「記憶喪失・・・?」


「・・・先日私が君をはねてしまった。それが原因だ。」


私はうつむいた。


「あの・・・そんな顔しないでください・・・。私まで悲しくなります・・・」


少女はおろおろと心配そうにしていた。


その姿がとてもかわいらしくて。


私はふっと笑みを返した。


「笑ってください。私は記憶がないんですよね・・・でも体はなんともありませんし!!」


彼女はガッツポーズをしてみせた。



ぷっ!!


すると後ろにいた花沢さんがいきなり笑いだした。


「す・・・すいません・・・。話に聞いていたとおりのお嬢さんなんで・・・」


花沢さんは楽しそうにクスクスと笑っていた。



「あの・・・あなたは私のこと存じなんですか・・・?」



「・・・直接会うのは初めてですよ。でもあなたのことはお話で伺ってましたから。」


花沢さんはその少女に微笑んだ。


すると急にその少女が涙を流した。


「あれ・・・?私なんで・・・?あなたの笑顔・・・誰かに似てるきがして・・・」


そう・・・つくしは慧のほほえみに類を重ねていたのだ。



記憶がなくなってもどこかで覚えているのである。


「少し・・・話をしようか。」


私はベットの横にある椅子に座り話し始めた。


「私は・・・君を養女にしたい。」


「よっ・・・養女・・・ですか・・・?」


少女は驚きを隠せないでいた。


「そう。君への償いのためでもあるが・・・私のためにも・・・」


「あなたの・・・?」


私は亡くなった妻と娘の話をした。


「あなたは私の娘によくにている。娘も生きていたらあなたと同じ年ぐらいだったろう・・・。そして娘の命日にあなたと出会った。・・・娘が私たちを引き合わせてくれたんだと思う。」


ジェームズは真剣に語りかけた。


・・・私は・・・どうしたらいいの?


私は覚えていないけど・・・本当の両親もいるはず。


でも・・・今の話を聞いたら・・・断れないよ・・・



「あの・・・私の両親って・・・」


私が話そうとしてら後ろにいた男の人が話を遮った。


「君の両親には私から話しておこう。一生会えないわけではない。・・・落ち付いたら会いに行ったらいい。」



私はその言葉を聞いて少し安心した。


そうよね・・・一生会えないわけじゃない・・・



記憶が戻ったら・・・会いにいけばいい・・・。


私は両親にすまないと思いながらも、今目の前にいる人の力になりたいと思った。


「あの・・・こんな私ですが・・・お願いします。」



私は頭をぺこりと下げた。


「ありがとう!!さっそく手続きをしておこう。・・・話によると君は現在ハイスクールの3年だそうだ。ハイスクールは私の家で通信で卒業してもらう。とりあえずは語学の勉強だね。」


あっとゆうまに話がすすめられてしまった。


「私のことはお父さんと呼んでくれ!」


満面の笑みで言われてしまった。


「は・・・はい・・・」


するとお父さんの後ろにいた人が


「私もときどきあなたに会いに来ます。私のことは・・・そうですね、慧と呼んでください。」


にっこりと笑って慧さんは、またきますと言って出ていった。
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