★short story★

□足りない時間と、愛しいお前
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■□ 足りない時間と、愛しいお前 ■□


 ぽかぽかと暖かな日差しが降り注ぐ午後。
 まるで春のような陽気に誘われて、外に出れば輝く太陽が俺を照らした。
 眩しさに屈するように、木の木陰に腰を下ろす。そして持っていた本を開き、趣味に没頭し始めた。
 一定間隔で印刷されている文字を目で追いながらも、頭のどこかで全く違う事を考えていた。
 それは、いつも俺の隣に居る、真っ白な少年の事。優しすぎるエクソシストは、今日は教団には不在。漆黒の髪の少女との短期任務についている。
 いつも隣にいる存在が居ないとこんなにも暇だと、つまらなく感じる事を最近知った。
 と言っても、真っ白な少年と一緒に居る時でもする事は変わらないのだが。1人での読書がつまらなく感じるのはなぜだろう。
 どこかぽっかりと穴があいてしまったようにも感じる。
 自問自答しても、答えは出てこなかった。
 
「あー内容が頭に入んないさ」

 緋色の髪をがしがしとかく。そして持っていた本を読むのを断念した。
 ぼうっと、木漏れ日を見つめていると、段々と瞼が重くなってくる。特にする事もないので、その優しい眠りへの誘いに逆らう事をしなければ、徐々に意識は落ちて行く。

 ーアレンとこんな風に昼寝したいなぁ

 眠りに堕ちる瞬間。思うのはやはり真っ白な少年の事だった。
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