★Short story★
□夜這い★ 【フリー】
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■夜這い
現実感の薄い、ふわふわとも感じる感覚のする“夢”という幻想。
夢の中で毎夜、想い人であるアスランに抱かれる。
夢の中では、現実では決して見れないあの翠の瞳が眼前にあり、自分を見つめている。
感触といっていいのかわからない位の感覚しかしない夢の中で、アスランが近くにいるそれだけで幸せで涙が零れる。
この夢を始めて見た時、現実での有り得なさすぎる夢に、己の切望を知った。アスラン・ザラが好きなのだと。
しかしそれは叶わない恋でもある。なんせ相手は自分を嫌っているのだから。
『俺とは違いすぎるよ…イザークは………気が合う訳がないじゃないか』
いつだか憶えていないが、通りすがりに聞いたアスランの言葉は心に傷として残っている。
『アスラ……すき』
熱に浮かされた声で呼べば、アスランは優しい笑みを浮かべて、キスを落とす。
淡い感覚を憶え、イザークは身体をふるわせた。
あまり感覚とか感じない夢の中で、珍しく強く感じたキスに、そんなにアスランを欲していたのか、とぼんやりと思う。
その間にも行為は進んで行く。
いつもとは違く、今までにないくらい強く感じる快楽にほんろうされて行く。