★Short story★

□写真と手紙と子悪魔
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唖然と見ていた紅服3人集の1人、橙の髪を持つ青年・ラスティー・マッケンジーが話しかける。
振り向いたイザークの顔にラスティ達だけでなく、その場に居た人間も驚く。
今まで見た事のない、困ったような、でも泣きそうな顔のイザークがそこにいたのだ。
それには仲の良いディアッカも言葉を失う。
イザークはドアを叩く音が聞こえなくなったと同時に、何故か逃げる様にミゲルの元に駆け寄った。そしてイザークは無言のままミゲルの服の端を掴む。イザークらしからぬ様子と仕草に、誰もが言葉を失う。
いつも鋭く光る眼光は少し潤み、形の良い眉はきりっと上に向いてはいなく、見て分かるほど垂れ下っていた。元々母・エザリアの生き写しのように顔の整っているイザークが、こんな様相。はっきりといって可愛い。
いつも仲の良い、通称=仲良し紅服5人集+@事、ミゲルもニコルもディアッカもラスティも、その場に居合わせた一般兵も気の良いた言葉も、絶賛の溜め息さえでない。
イザークがその口を開いた瞬間、シュン…と音を立てて入り口のドアが開いた。イザークの顔が青くなったのも同時だった。
音に誘われた、イザーク以外の視線は入り口へ注がれる。
入り口の真下には仁王立ちした、この戦艦ヴェサリウスのエースとも歌われる紺の髪を持った少年・アスラン・ザラ。
その顔には誰も言葉が紡げなくなるほどの完璧な微笑みが浮かんでいる。

「ふふふ…イザーク、こんな入り口のロックなんて俺に掛かれば…ね?無駄な足掻きはよすんだな」

その形の良い唇からつむがれるのは微笑には合わない言葉。
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