過去拍手文
□11月/マフラー
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* ミヤ ver *
寒くてしょうがないからマフラーを買った。
こんなに風が冷たいとは思わなくて、ちょっと厚着しただけで出てきたら大失敗
ものすごく 寒い。
待ち合わせまで少し時間があったからちょっとした店に入って服に合いそうな色のものを購入
そこまで気に入ったわけじゃないが
でも、寒い。
背に腹は変えられんという訳で…"とりあえず"
首に巻いて待ち合わせ場所へと向かった。
『ミヤ遅い!また遅刻』
「わ、悪ぃ…;」
待ち合わせ場所には膨れっ面の彼女が立っていて
今日はいつもと違って時間に余裕あるからと店に寄り道したのが失敗。
また遅刻してしまった。
まだ怒ったままの彼女の手を引くととても冷たく、何分も待たせてしまった事にひどく罪悪感を覚える。
「…ごめん」
『………』
ひゅう、と
乾いた音が響き冷たい風が肌を掠めていって
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髪の毛で隠れていた細い首が露になる。
同時に
買ったばかりのあまり似合わないマフラーも、風になびいて視界に入った。
………あぁ、
そうか。
視界に入ったソレを自分の首から外すと
彼女の首へ。
『…ミヤ…?』
「これ、お前の。」
思った通り良く似合うその色を巻いた君は不思議そうに俺を見る
『…?ミヤのマフラーでしょ…?』
「お前にやる。」
『いいの…?』
「待たせた御詫び」
"有難う"と言って、今日初めて見せてくれた大好きな笑顔。
いつの間にか、自分の色より他の色に染められていたみたい。
その色もその柄も
似合うのは俺なんかじゃなくて、目の前の大好きな人。
どうやら俺は
無意識に君の色を追ってしまっているようだ。
「ごめんな」
『…うん、良いよ』
繋いだ指と
寄り添う体
…あ、
寒さなんて
気のせいだったかな。