過去拍手文

□11月/マフラー
1ページ/4ページ

.
* 逹瑯 ver *





『ごめーん!』

「遅ぇよ(笑」



もう冬も一歩手前

寒い寒い言いながら彼女と一緒に散歩をするのが最近の楽しみだったりする。



「…飲み物買いに行ったんじゃなかったの」



寒いから温かい飲み物を買ってくると言った彼女の手には

コーンポタージュが二つと茶色の紙袋。



『ごめんごめん、ちょっと…』

「"ちょっと"、何?」

『えーと…』



俺を公園のベンチにほったらかして、一人で買物かよ。

呼びに来てくれたっていーじゃんか…



不機嫌になって視線を逸らすと、隣で何やらゴソゴソやりだした。


…構うもんか。
.

素直じゃない俺は、ふいと背中を向けたまま後ろから聞こえる音に耳を大きくする。


…だって、
気になるし…(苦笑










『逹瑯』



結局音だけじゃ何を取り出したのかわからないまま。



渋々振り返った俺の目には一瞬だけ白いモノが映った。



『それ、逹瑯の。』



にっこり笑う大好きな笑顔と、俺の首に巻かれた白いそれ。



「…マフラー…?」

『うん♪飲み物買いに行ったら向かい側に小さなお店があって…マフラーが見えたから、寒がりな逹瑯にと思って…つい(笑』



よく見ると笑って話す細い首には黒いソレが巻かれていた。



「色違い?」

『そう!お揃い☆』

「(可愛いな…笑)
俺が白でお前が黒なん?」



さっきの優しい笑顔とは違って、でもやっぱり俺の大好きな笑顔で


『逹瑯には白が似合う』


純粋無垢な白、なんてハッキリ言い切るから。





「…あー、もう。…俺の負け」



ちゅ、

と小さくキスをした。



「ありがと」





素直じゃない俺も

貴女にだけは敵いません



素直に 大好きです。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ