過去拍手文
□4月/出会い
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* 逹瑯 ver *
「わ」
『わぁ』
コンビニへ行く途中、漫画みたいに曲がり角でぶつかった。
あ、この女の子(多分年下だと思う)…今行くコンビニによくいる子だ。
「ごめん、大丈夫?」
『すみません、大丈夫です!!岩上さんこそ大丈夫ですか?』
「…え、?何で俺の名前…」
女の子は乱れた髪を直しながら笑いかけた。
うん、マジマジと見た事なかったけど普通に可愛い。
『ムックのボーカルさんなんですよね?』
「あ、えっと…」
マズイ、夢烏の子だったりする…?
かなりタイプだけど(笑)夢烏に手を出すわけにはいかないし…
そわそわしている俺を見て、ふふ、と笑った。
『大丈夫ですよ。あたし、岩上さんが住んでるマンションの管理人の娘なんです』
「え?!あ…」
『だから下手な事は言いませんし、信用して下さい』
「あ、…はい」
夢烏じゃないにしろ手は出せない…か
正直、もっと話したいし仲良くなりたかった。
こんな気持ちは久しぶりだったのに。
『…でも』
何も言えずに立っていると温かい彼女の手が触れた。
『良かったら、仲良くして下さい』
また笑って頭を下げ、隣を通り過ぎた彼女の優しい香りが俺を振り返らせる。
手の中にある一枚の紙。
"岩上さんへ"
その下には電話番号とメールアドレスが記されていて、色々な想いに心臓の鼓動が速まった。
「…あれ…?でも…」
この紙、いつから持ってたんだ?
いつか俺に渡そうと思って…?
勝手ににやける顔を帽子で隠しながら携帯を片手にとる。
「…あっ。
もしもし?岩上ですけど…」