過去拍手文

□6月/紫陽花
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*逹瑯 ver*




『あ、紫陽花…』


ああ、やっとこの季節。

あれから2年が経ったんだね。


2年前の紫陽花が咲きはじめた季節に逹瑯は日本を出ていった。

夢を追いかけて。


成功したら2年後ここに戻って来るって言ってたよね。
忘れてないよ、だって今でも変わらず逹瑯が大好きだから。

戻って来たらあたしに告白する、なんて言ってさ

そんな事言われたら期待しちゃうし…他の人なんて目に入らないじゃない。
本当にずるい。



『…2年も…経ったんだなぁ』


早いような遅いような。

連絡も取れないままだから帰ってくるかどうかなんてわからないのに、それでも胸が高鳴るのはあたしの中にいる逹瑯の存在が大きすぎて―…





「…なーにしてんの」



不意にポン、と肩を叩かれ振り返る


この声 この手

…この笑顔。



『…た、……』

「只今帰りましたー逹瑯でぇっす」



言葉になんかならない

言葉より先に涙が溢れて止まらないから。


へらっと笑ったその顔は2年前とは変わらないけどどこかしっかりしていて

あたしの泣きっ面は一回りも二回りも大きくなったような逹瑯の胸におさまった。



「あの約束、覚えてる?」

『………ん。』

「約束通りお迎えに上がりましたよーお姫様。(笑」



茶化したように言うから腫れた目で睨むと逹瑯はまたへらへらと笑う。





「…好きだよ。
待っててくれて有難う」



そんな事急に真剣な顔で言うから、また涙が止まらないじゃない。

大好きだよ、逹瑯。







紫陽花の季節

想い出の花は薄青と薄紫に輝いて。
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