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□戦慄
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季節外れね―
たおやかなシルエットで
僕等は闇夜に浮かんだ。
濃厚な紫煙が、生まれては溶け
生まれては溶け
「黒が、いちばん似合うな」
温い夜風、
春が終ろうとしている―
「こんな風に会う必要は、無いのに」
もう
僕等は
「そんなこと、無い」
完全な世界を手に入れたんだから
隠れるように、月夜を愉しむなんて
少し滑稽。
「だれにも、じゃまさせない」
穏やかな口調に戦く
君さえも
解かれた、という現実に変容して
自分を見失ったんだね、可哀相な金糸雀よ―
愛玩していたのはだあれ
そうだ
得体の知れない無数の瞳に
僕等は犯された―
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