隠の王

□焼け爛れ失った感覚、共鳴しすれ違うモノ
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『僕はどうして君からでさえも忘れられてしまうことを望んでしまうんだろう』

宵風は昨日確かにそう言った。
それから疲れて眠る宵風の額に滲む汗を時々拭きながら、俺は長い間眠れずに居た。

ぐるぐる

ぐるぐる

宵風の言った言葉が俺に思考を促す。

俺からも忘れられてしまうという
"消える"というその事に、
宵風は迷いを感じ始めているのではないか。

……思い過ごしだ。
すぐに俺は希望の可能性から逃げる。
期待すれば、絶望は何倍にも。
胸を躍らせていれば、たちまち貫かれてしまうに違いない。

傷ついているのに無関心になって気付かないふりをしても、
何度もダメージを受ければいつか砕けてしまう。

体よりも厄介なもの。
それは心だ。
どこにあるのかなんて誰も知らない。
心臓だとか脳だっていうのは分かる気もする。
手や足、それか心臓や頭をぶち抜かれるのとでは与えられる力は同じでも受けるダメージは後者の方が断然に大きい。
何故か。

……馬鹿馬鹿しい……。

そんなのただ
その器官が重要な役割を担っているからだ。

回転を続ける思考はいつの間にか逸れ始め、
俺は前の答えを一瞬、そこに心があるからじゃないのか、なんて思った。






焼け爛れ失った感覚、共鳴しすれ違うモノ





宵風の心を動かすにはどうしたらいい?

何かに、執着してもらえばいい。
どうしようか、目が覚めたら、宵風に行きたい所はないか聞いてみよう。







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