【胎動編】最後の時間
□【Ep12】戦いの序曲
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触れてくれたその手はとても温かかった
まっすぐに自分に向けられるその瞳はいつも綺麗だった
自分はその存在に、確かに救われていた
だから代わりに戦うことしか出来ない自分はかけがえのないその一人を生涯守り続けようと秘かに心に誓っていた
残酷な現実
壊された幸せ
戻せない時間
横たわる肢体は人形のようで、その傍に佇む男は確かに笑っていた
伸ばした手
届かない距離
虚空を掴む指
あと少しのところで大切な者は、憎い男に壊されてしまった