【胎動編】最後の時間
□【Ep15】足りない言葉
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深淵から声がする
無限に広がる闇世界
響く声はこの黒い世界に波紋を作り、佇む少女の耳に届く
その真闇に、あぁ…いつもの夢だと少女は思う
そしていつものように少女は周りを見渡して声の主を探す
政府に居た頃いつも着ていた科学繊維で出来た真白い衣服は動作に合わせてひらひらと裾を舞わせた
深淵から声がする
何と言っているのかも解らない
誰の声かも解らない
ただ、その声は少女を呼んでいる気がする
世界でただ一人、少女のことを求めているように感じる
だが少女はまた‥
夢の目覚めと共に
何度もその『声』の存在を忘れてしまう