【胎動編】最後の時間
□【Ep16】不可解な安息
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髪を掻き揚げる手に苛立ちを込めながら上半身を起こす。その動作で胸からずり落ちた毛布の中で小さな物が寝返りを打った
「あ、起こしちゃった?ごめんねー」
自分を叩き起こした時とは比べ物にならないほど穏やかで優しげに男が“もう1人”に声をかけている
二重人格か、お前は!
何やら癪に障って舌打ちすると、小さな手が自分の服を掴む。
つられるように視線を向ければ、男曰く”華”が眠そうに目を擦りながら起き上がる
宵闇に似ているという、その綺麗な色の髪に手を伸ばし-----
殺気
途端、拳に走った痛みでカルマの意識は目覚めた