リクエスト

□first contact
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First contact

 リザ・ホークアイは、この場にいることが嫌で嫌で仕方なかった。
きらびやかなシャンデリアの下、同じようにきらめいた衣装を身にまとう、大人たち。男も女も、美辞麗句をならべて、微笑んでいる。
祖父が招待されたからといって、なぜ孫娘である私まで・・・。ため息しか出ない口をふさごうと、食事をしようとするが立食パーティとなっているこの場で、人々の合間をぬってとりに行くことも億劫だ。
飲み物も、シャンパンに、ワイン。まだ未成年の自分には、口にあわないものばかりだった。
 めったに着ることのないドレスも、濃紺でこの場には地味すぎるかもしれない。だけど、自分にとっては最大のおしゃれだった。
 ピンクや黄色のドレスが華やかにみえ、リザは柱時計の隅に背中を預けていた。
 あ〜あ、つまんない。
 何度目のため息だろうか。
「失礼、ここよろしいでしょうか」
 ふと声をかけられ、リザは顔を上げる。
「は、い・・・」
「どうぞ」
 同じ歳くらい、いや、すこし年上だろうか。黒髪の少年が笑顔でグラスをそっと差し出す。
「ありがとう・・・」
 グラスから、オレンジの優しい香りがした。
「つまらなそうだね」
「ええ。貴方は楽しいの?」
「いや、この場にいることが苦しいよ」
「同じね」
「そうだな」
 無言で流れる時間。だが、先ほどの居心地悪さから、解放されたように思う。
「外、いかないか」
 少年がそっとリザに手を差し出した。
「え、ええ・・・」
 ためらいつつもリザはその手をにぎり、二人はバルコニーへ飛び出した。
 
 夜のひんやりとした空気が、ふたりを包み込む。先ほどの鬱陶しい空気から解放されて、爽やかな気持ちになった。
「そのドレス、似合っているよ」
「地味すぎだったわ」
「そうかな?君の金髪に生えて、とても美しいよ。
 そんなことを今まで言われたことがなかったリザは、赤面してうつむく。
「・・・ありがとう」
「感謝されることでもないよ」
 爽やかに言ってみせる少年は、にこやかに微笑む。
「君はもっと、自分の美しさを知るといいよ」
「口がお上手ね。何人の方にそう言ってるのかしら?」
「まさか。君だけだがね」
 二人は、ふっと笑う。
 
 だが、そんな爽やかで、心地よい時間も、リザの祖父の声で終了を告げてしまった。
「リザ」
「あ、はあい・・・」
 リザは苦笑をもらして、
「いかなきゃ」
「ああ。また・・・」
 リザは、濃紺のスカートを翻して、祖父の側へ駆け出した。
「あ・・・。名前を聞くのを忘れてしまったわ・・・。また、会えるかしら・・・」

 後、二人は再会することになるが、そのときは、その少年の背中を守ることになろうとは、思いもしなかったリザだった。

おわりんこ。

 リザが十四歳くらいのイメージで。将軍につれられて、パーティに行って何故かますたんぐーもいたという設定。わかりにくいだろうけど。リザとロイの年齢がわからないので、どうなんだろうとおもいつつ、二つくらいリザが年下かな〜とイメージして。
 大人な二人の青春期ってどうですかね?ツバサさん;とにかく、おめでとうございます。イメージイラストも描いた(描くつもり)ので、送ります。そのうち・・・。

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