toy ring

□toy ring 11
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 アルフォンスに連れられた場所は豪邸だった。建物の大きさに驚きながら、アルフォンスに連れられて、応接室らしきところに通された。
「いらっしゃい」
「!」
 出迎えたのは、このまえの有名な占い師。
「このまえは、ありがとうございました。彼が、昨日話した、…」
「お兄さんね」
「ええ」
「アルフォンスの兄、エドワードです」
 一体何がおこるんだろう、と思いつつエドワードは占い師と握手を交わした。
「さ、座って」
 そういわれて、ソファに腰をおろした。

「…収録のときのことを気にしているって言ってたわね。では、彼が一番近くにいる人なの?」
 その質問はアルフォンスへむけられている。
「はい」
「…そう。貴方の、生年月日や星回りを見ると、収録と同じ結果がでるの。でもね、こうして二人でいると…」
 エドワードは少々緊張した面持ちで、占い師を見た。
「不思議ね。私の占い結果が間違ってるんじゃないか、って思わされる。あ。これはナイショよ。私の仕事が無くなるから」
 占い師は、くすっと笑った。
「ああ、そうか…。お兄さんの星がイイのね。強運の持ち主だわ。それに引かれて、少しずつ貴方もいい運勢に導かれる。でも、お兄さん、あなた三つの顔を持ってるわね」
 どき、っとして、エドワードは思わず拳を握った。
「マネージャーと、兄と、そして、なにか…煌びやかなライトがあたる仕事」
「っ、あ、あの…そ、それは他言無用で…」
 自分が『ed』だということは隠したい。
「いえ、四つだわ」
「「四つ?」」
 アルフォンスとエドワードの声が重なって、二人は顔を見合わせた。
 だが、占い師は、目元に皺を寄せて微笑んだだけだ。

「最大の秘密でしょ、これ。あなた、すごく愛されてる」
「…!」
 かあっと思わず耳まで赤面してしまったエドワードに、アルフォンスは苦笑した。
「い、あ、ああの…」
「大丈夫よ、占い師はそこまでわからない。それに、知りえた情報は他言しない。秘密は守る」
 エドワードは目を合わせられなくて、視線を落とした。
「それに、貴方が愛されてるのと同時に、同じように慈しんでいるのね。それが、互いの悪い運をよくしている。そう、感じる。…これは、決して生年月日で出る結果じゃないから、フツウはこういうことお客さんには言わないんだけど…。トクベツよ」
「…ありがとうございました」
 アルフォンスの言葉に、エドワードは頭を下げる。

「がんばんなさい」
 占いが終わって、玄関を出るときにそういわれ、二人は「「はい」」と言葉をそろえて返事をした。
「…『ed』はテレビには出ないのかしら。是非、お仕事ご一緒したいわ」
「…!」
 突然の占い師の言葉に、かあっと赤面しつつ、焦りだしたエドワードに占い師は笑っただけだった。
 ば、バレてる…!占い師ってこわっ…!もう一生関わりたくない!と心底思っていたエドワードだった。


「僕がいっくら、愛してるって言っても、全然信じてくれないんだもん」
 徒歩で夜道を歩く。住宅街なので、とても静かだ。
「ち、違うだろ!信じてないわけじゃない…」
「でも、ああして、第三者に言われないと、納得しないじゃない」
 ちょっと拗ねた弟の横顔に、エドワードはぷっと吹き出して笑った。
「だから、わざわざ占いを予約したのか?あのヒト忙しいんだろ?」
「うん。ふつう、ああして占いはしてくれないんだよ。頼み込んだら、あっさりいいって言われて。もちろん、サインしたけどね」
「はは」
「これで分かったでしょ?僕一人だったら、運が悪いのかもしれない。でもさ、兄さんがいればいい方向へ向かってるって。そう言ってたじゃない」
「…うん…。ああして、第三者に言われるのって、恥ずかしいな」
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