リクエスト

□過去からの贈り物
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 リクエスト「未来軍部ほのぼのギャグ」
waika様


過去からの贈り物。

久々の休みに、専門書を扱う本屋へ足を運んだエドワードは、頼んでおいた書籍がまだ届いてないと聞き、がっかりしながらもふと、棚の隅の方に目をやる。
そこには、「ALCHEMY」と書かれた本があり、おもわず手にとるエドワード。
「懐かしいな」
 思わず手にとったまま、店主に買うことを伝えて、精算を終えていた。
「でも、大佐。貴方のような国家錬金術師には必要ないでしょう?」
 エドワードは、にっと笑って、
「たまにみるとおもしろいよ。大人だって、たまに絵本を読むだろ?俺、三歳か四歳か…そんなもんで読んだ本だから、俺にとっては絵本と同じだよ」
「ええ!この本をそんな小さいころに?まだ字も読めないんじゃ…?」
「なんとなく、って。五、六歳で初めて錬金術使ったからな〜たしか」
「へええ、さすが国家錬金術師ですね」
 店主にじゃあ、また、と手を上げると、店主も人のよさそうな笑みを浮かべて、ありがとうございました、と伝えた。

 頼んでおいた専門書はなかったが、懐かしい本が手に入った。すこし、うきうきした気持ちで、帰路を急いだ。
 自分の家につくと、すでにアルフォンスが帰ってきていて驚くエドワード。
「あれ、早いじゃん」
「今日、徹夜だったから早く帰ってきたんだよ。何かいいことあった?嬉しそうだね」
「うん、いや、嬉しいというか」
 エドワードが出したものは、アルフォンスにとっても懐かしい代物。
「わ、懐かしいね。でも、どうして買ってきちゃったの?めずらしい」
 どちらかというと、懐かしいものをみても、「そ〜か〜?」で済ませてしまうエドワードだ。愛着心というものを捨てて、家を焼いたこともあってか、それほど気にするタイプではない。
「なんでだろうな〜気まぐれかな」
 今更熟読してもなんだし、といつもなら買ってすぐに読みたくなるのだが、今日はパラパラとめくるだけだった。
「夕飯作るよ」
「なんか手伝おうか」
「いいよ。休日をゆっくりしてて」
 優しい笑顔に甘えて、エドワードはそのままソファに座ってページをめくり続けた。
 アルフォンスとのゆっくりとした時間を過ごし、十一時にはベッドに入る。今日は、久しぶりに、一緒に寝ることになった。
 
一緒に寝るとひとことでいっても、それで済むわけがなく。
案の定、組み敷かれてしまうエドワードだった。


翌朝、太陽が煌々と輝き、カーテン越しに光が二人の眠るベッドに注がれていた。
アルフォンスはうとうとと、まどろみを彷徨う。
(ん…?)
一緒に眠ったはずのエドワードを手探りで探す。
(あ、いたいた。あれ?なんかちっさい?)
いや、もともとちっさいだろう、とツッコミたくなるところだが、アルフォンスが言うのなら間違いはない。いつもと抱きしめる大きさが違うのだ。
(ぬいぐるみなんてあったっけ?)
一生懸命、目を開こうとするのだが、なかなか開いてくれない。手探りで、頭のあたりを撫でる。
(ん?やっぱ兄さんの髪質だ…)
つややかで、さらさらの感触が、アルフォンスの手に伝わる。
そして、そのままこめかみ辺りに口付けをおとして、目をひらいた。
「!!」
 驚きすぎて声がでないというものを、経験したのは何度目だろう。
いや、ありえない。いやいや、ありえないということは、ありえないってどこかのホムンクルスが言ってた。いや、でも。ありえないだろう!?
「兄さん!!」
 エドワードが、小さい。
 いや、いつも小さいんだけど。じゃなくて、腕も足も、顔も小さくて、ぷっくりしてて、髪の毛も短いのだ。体つきも、ぷにぷにしていて。
「こ、子供」
 そう形容するのにふさわしいというより、実際そうなのだ。
 アルフォンスは布団をがばっと全部剥ぎ取ると、エドワードの横に、金色の髪なのだが、すこしくすんだ金髪の男の子がうずくまるようにして眠っている。
「ぼ、僕…!?」
 その短髪の子供の腰に手をまわしているように眠るのが、アルフォンスが夜この腕で抱いたエドワードだ。
「…ちょ、どういうこと…!?兄さん、起きて。兄さん!」
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