toy ring

□toy ring 7
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A toy ring 7

ロイ・マスタングは久々のCM撮影をすることになり、その企画書を読み上げたところだった。場所は自宅。ふいに、テーブルにおいてあった携帯電話がなり、着信を見る。意外な人物からだった。
「めずらしいな、私に電話をかけてくるなんて」
 微かに笑みを浮かべて、ロイは電話口に話す。相手はおそらく、悔しいような表情で視線を下げていることだろう。
『あのさ、短期でバイトないかな』
 バイト?
「マネージャーとモデル、それだけの稼ぎじゃ足りないというのか?」
『ち、違う。そんなんじゃない。ただ、ちょっと急ぎでまとまった金が欲しい』
「物欲のないおまえが珍しい」
『ないんなら、いいけど』
「ま、まてまて」
 ロイは、ふとその企画書に視線を下げ、にやり、と笑った。
「おまえにぴったりな仕事があるぞ」



「ごめんな、アル。一緒に行けなくて」
「うん、寂しいけどそれは仕方ないね」
 今日から二日、アルフォンスはドラマのロケで、ここを離れることになる。見送りも玄関までしかいけず、エドワードはそっとアルフォンスの頬に触れた。
「気をつけて。事故とかもそうだけど、オンナにも」
 アルフォンスは、ふっと笑みを引いた。
「僕の方こそ心配。変なオトコに引っかからないでね」
「なっ!なんでそういうこという――」
 言葉の途中に突然振ってきたキスに、エドワードは何もいえず、そのままふっと力を抜いた。
「っ、んっ」
 遠慮なく歯列を割る舌と、どこをなめ取れば蕩けるかなんて重々承知のアルフォンスに、敵うわけもなく。
 
…だけど、それは携帯電話の着信音に消された。
 その音は、エドワードのものからだ。
「…でないの?」
「うん、あとでかけなおす。お前も早く行ったほうがいいよ。シェスカも待ってるし」
「ん、じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
 頬にキスを受け取って、エドワードはアルフォンスに手を振った。
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