toy ring

□toy ring 番外編
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ようこそ〜ようこそ〜花○カフェ〜へ〜♪

花○カフェへようこそ!

「本日のゲストは、俳優のアルフォンスさんです!」
「おはようございます、アルフォンスです」
 朝の主婦番組に出演中のアルフォンスは司会者に紹介され、にこやかに微笑んだ。あの表情に、昨日の泥酔姿は表れていないところがさすがだ、とエドワードは密かに思う。
「今日のおめざは、アップルズ・ツリーのアップルパイです」
「わ〜美味しそう」
 女性司会者がうっとりとそのケーキを見る。
「業界でもアルフォンスさんのアップルパイ好きは、有名ですよね。ちょっといただきます」
「有名ですかねぇ。はは。甘いものが基本好きなんです」
「じゃあ、お酒は呑まれないんですか」
「いえ、全然呑みます」
「そうなんですか〜珍しいですよね。辛いものは?」
「キライじゃないですけど。苦いものがダメですねぇ」
 などと話ながら、三人はケーキを一口、二口食べている。

「さて、花○アルバムです。お写真を見ていきましょう」
 ボードに張ってある数枚の写真。その隅に、字が書いてある。
「では一枚目、“趣味が高じて…”とありますが」
 司会者が一枚の写真を紹介すると、その写真には服とデザイン画が写っていた。
「今やデザイナーでもあるんですもんね。ブランド『al』のデザインですか?」
「はい。この前発売したブラウスです。これは、女性用ですが」
「ステキですね」
 女性司会者もうっとりとその写真をみる。
「男女兼用のものもあるとお聞きしています」
「ええ。サイズの幅が広くしてあるんですよ。小柄な男性にも着て貰えるもの、というのが最初の提案で。次の写真にあるんですけど」
「では、捲ってみましょうか」
 もう一枚の写真をめくる。

 その写真が出た瞬間、
「うえッ!?」ライトのあたっていない場所で、エドワードは目を丸くしていた。
(ちょっとまてよ、あれ、オレじゃん!?)
 その写真は、エドワードの後姿だった。

「これは、どなたですか?写真には、“酔っぱらい”と書いてありますけど(笑)」
「ええ、酔っぱらいです。実は、兄なんですが」
「お兄さん!?」
「ええ。ウチの兄は、小柄なんですよ。兄の体型に似合う服というのを探したとき、全然見つからなくて、じゃあつくちゃお、って思って」
「え〜?では、お兄さんのためだったんですか?」
「はい」
 ライトの中で、あたりまえです、といったようなにこやかな表情で微笑むので、エドワードは、僅かに赤面する。
(ブラコンをこれ以上晒すな!)と叫びたいところだ。

「仲がいいということは聞いていたんですが」
「ええ、仲がいいですね」
 しれ、っと言ってのけるので、エドワードとしてはハラハラしっぱなしだ。
「じゃあ、彼女とかが入るスキがないんじゃないですかぁ〜?」
「はは、そうですかねぇ」
 曖昧に笑うと、司会者は突っ込んじゃいけないところだった事を思い出してか、話を変える。
「さて、次のお写真です“お気に入りのカクテル”」
 写真には、ショートグラスに注がれた赤っぽいカクテルが映っていた。
「これは?カクテルですけど」
「キッス・オブ・ファイアーというお酒です。カクテルに詳しいわけではないんですが、個性的な味で、気に入ってるんです。スノースタイルで、グラスのフチに砂糖がつけてあるんですよ」
「へえ〜!おいしそうですね。ウォッカですか?」
「ウォッカベースで、スロージンとドライ・ベルモットとレモンジュースが少々…ですかね」
「お詳しいですねぇ」
「いえ、種類は知らないんですけど…。これは、お店のなんですが、たまに時間があれば家で作ったりするんで」
「ええ?じゃあ、シェイクとかするとき、シェーカーをこう、ふるんですか!?」
 司会者がシェイカーを振るマネをすると、アルフォンスは笑って、「ええ、たまに」というと、女性司会者が「カッコイイ〜!アルフォンスさんにやってもらったら、すごく様になりますよね!」と、滞りなく会話が繰り広げられているが。
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