よみもの アルエド(未来軍部)2

□エルリック大佐誘拐事件(前編)
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りえ様リクエスト
「エルリック大佐誘拐事件」(前編)
 
 東方司令部、司令官エドワード・エルリックの弟、アルフォンスは、兄の執務室への扉を開いた。司令官の執務机には、書類の山が三つほどあり、その間に必死になってペンを走らす兄がいる…はずだった。
「あれ、いない!?」
 アルフォンスは大部屋へもどって、座って何かの報告書を書いていたローズ中尉に目が止まった。
「中尉、大佐は!?」
「あ、ガネット少尉と外回りに行くといって、出かけられましたが」
「ちっ、やられた!」
「どうかされましたか?」
「逃げたんですよ。今日、セントラルの錬金術研究所から、お客が来ることになってるんです。マスタング少将と共に」
「あ、ああ。今日だったんですか」
「もう、到着する時間なのにッ」
 
 冷静沈着なアルフォンスが落ち着かない頃、エドワードはというと。
 いつもは使わない拳銃を、一般市民にちらつかせていた。なぜならば。
「東方司令部、エドワード・エルリック大佐だ!犯人追跡中につき、その自動二輪、借りるぜ」
「えええっ!?」
 一般市民の男性は、拳銃が怖いのか、エドワードの気迫に負けてか、バイクから手を離す。
「借りパクしね〜から!でも、悪いが、東方司令部に取りに来て。ガネット!」
 うわ〜脅迫まがいだよ。と、思うのだが、ガネット少尉にいえるわけがなく。ガネットは仕方なく、男性にごめんなさい、と手を上げて、バイクにまたがる。エドワードはひらり、と後ろに飛び乗った。
「あ〜俺のバイク…」
 男の嘆きは、そのエンジン音にかき消された。

 ガネットは、バイクの速度を上げて、前方を走る一台の黒い車を追った。
「もっと飛ばせ!」
「大佐が振り落とされます!」
「俺にかまうな!」
 かまいますよ!貴方に何かあったら、中佐に殺されます!とは、いえないので、スピードを少し上げた。
「おまえの拳銃借りてるけど、まだ借りるぜ」
「ええッ!撃つつもりですか!?」
「ああ。おまえだったら、整備してんだろ?コレ」
 え、そのことを言いたいんじゃなくて、腕のモンダイです、とはやっぱりいえない。
 はっきり言えば、エドワードの拳銃の腕は、ソコソコだ。だから、心配で仕方がない。しかも、安定しないこのバイクの上で、だ。
 ガネットは、仕方なくスピードを最大にして、車との間をつめた。バイクは苦しそうにエンジン音を唸らせる。
「この距離なら、俺、飛び移るわ」
「はあ!?何いってんですか!!無理ですよ!怪我したらどうすんですか…って!うわッ」
 エドワードが、後ろからその車に飛び乗ったため、踏み台にされたバイクは一瞬ふらついて、ガネットは体勢をたて直すのに必死だ。
 あわてて、車をみると、金のテールをふり乱して、エドワードが車の屋根にしゃがみこんでいるのが見えた。
 
どうにか、飛び移ることができたようだ。
 エドワードが両手を叩き、車の屋根に手を置いた。その瞬間、錬成光が車を包み込み、その刹那。
「うわああ!」
 その悲鳴は、車の持ち主の声だった。
「はーい、車止めてね〜」
 助手席に降りたエドワードの手には、拳銃が握られ、そして運転手のこめかみに銃口がむけられる。
 運転手は、急ブレーキをかけことになった。
「はい、現行犯逮捕ってことで」
 エドワードは、基本的に手錠をもっていない。ガネットもそれは同じだ。だから、エドワードは拳銃を錬成して、手錠を作る。
「おまえ、首尾が悪い。テロリストっつーもんはもっと、スマートに手早くやらなきゃな」
「大佐、そんなこと教えることじゃないですよ」
 ああそうか。エドワードは、ガネットにはは、笑う。
「ガネット、爆薬の確認」
「はい」
 ガネットが後部座席を調べ始めたのを見て、エドワードは男に話を聞くことにし、車から降ろさせた。
 
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